第27話 暇な時間






蛇神ナギが口を開く。


「死ね」


痛いっ。攻撃されたの?


痛みもあるし、HPが1減っていたので間違いなく僕は攻撃を受けたのだろうが……蛇神ナギの動きが全く見えなかった。


「手加減し過ぎたのか。全員耐えるとはの」


全員? レオンくんとイリスちゃんとホーラちゃんにも?


3人を見ると空き瓶を持っていたので、エリクサーを飲んだのだろう。


僕が何とかしないと。


って思ったのだが、蛇神ナギは言ったよね。


全員ってね。


「くっ。何だ、このスライムは?」


神ナギ様に感謝。


「うっ。私の速度について来れるなんて」


神様でも痛そうだね。


「くっ。連続攻撃なのか?」


そうです。10連続の体当たりですよ。


「くぅ。私は神なのだぞ」


痛そうな表情の神様。


登場した時は神々しかったのに、今は哀れな被害者。


「ぐっ。いい加減にしろ」


まだまだ終わらないんだよね。本当に痛いんだよね。


「ぐふっ。」


頑張って、神様。後4回だよ。


「グハッ。止めてくれ」


もう、神々しさも、威厳もない神様。


容赦ないスライムの攻撃は10回続いた。


のだが……。


あれ? 数え間違えた?


「ぎはっ。もう勘弁してください」


泣いてしまった神様。


でも、まだまだ続くスライムの攻撃。


え~っと……スライムくんは張り切ってるのかな?


「ぎはっ。ううっ。どうして痛覚軽減が通用しないのだ? 強化させたというのに……」


そのスキルはハズレだよね。痛みの信号は必要だから、無くなることはないって、ホーラちゃんが言ってたよ~。


「ぎはっ。そうなのか……」


あれ? 僕の心の声が聞こえた? そんなはずないよね。もし僕の変わりにスライムくんと戦っているのだとバレたら、怒られちゃうかな?


「ぎはっ。貴様のせいなのか?」


僕を睨んでくる神様。


あ~聞こえてたんだ。ごめんなさい。僕はスライムくんとはもう戦いたくないんだ。だから……頑張って神様。


「ぎはっ。なぜ神の私が」











スライムくんの攻撃は30回で終わった。


「ゆ 許さぬぞ。私が味わったこの痛みを感じながら死ね」


神ナギは剣でスライムをきっちり30回攻撃した。


もちろんスライムくんは高速で震えている。


「馬鹿な、あの攻撃を耐えただと? グハッ」


え~っと……あの程度の攻撃なら……。


僕が後ろを振り返ると……。


ここは戦場なんだよ。それも敵は神様なのに……。


レオンくんとイリスちゃんとホーラちゃんは空間収納の指輪から取り出した、ベッドの上でくつろいでいた。








「さすがに、くつろぎすぎだよ」


「ふふっ。アルクくんでも5日間だったでしょ。あの時より更に進化してるよね。そして、あのペースだと終わらないと思うよ」


「だよな。俺の予想だと20日はかかるな」


え~っと……蛇神との戦いなんだけど。最後の戦いになると思うんだけどね~~~。
















神ナギは防御が意味ないと分かったのか攻撃に徹している。


神ナギの剣での連続斬りと、スライムの連続体当たりが延々と続く。


僕は立ったまま真剣に見ていたのだが……3時間も同じような攻撃と攻撃が続いているので……さすがにね。





「アルクくんも食べるでしょ」


え~っと……食事をしてもいいのかな? あ~トイレにも行かないと……。


「近くの街で一旦休もうか?」


僕がそう言うと、イリスちゃんは首をかしげた。


「いいの? 神様が戦ってるのに?」


「アルク、そんなにくつろいでもいいのか?」


「わらわはこの戦いが最後になると思うのじゃ。アルクはもっと真剣になった方がよいのじゃ」


え? イリスちゃんもレオンくんもホーラちゃんもベッドに横になって見てたよね。それにレオンくんはベッド収納して街に向かう準備してるよね。

















「アルクの勝利を祈って、乾杯」


「「「  乾杯~~~  」」」


「お肉~~~」


「美味しい~~~」


「今日の料理は魔族から教えてもらった特別メニューだ。まあ、高級食材ばかり使ってるから、凄い金額になりそうだがな」


「本当に美味しいよね~。アルクちゃんに感謝。で? で? 今度は誰と戦うの」


「それがな……邪神らしい。アルク達が負けると世界が滅ぶんだとよ」


「「「 え? 」」」
















アルクのダンジョンのスライムは楽しそうに戦い続けている。













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