第24話 1万人未満
「さ~今日は無礼講だ。酒はダメだが好きなだけ食べてくれー」
「おお~。勇者様に乾杯~~~」
僕もお肉にかぶりつく。
「お 美味しい~~~」
「すげぇな、魔族は。こんな美味い物があるなんて知らなかったよ」
「ふふっ。本当ね。それもこんなに沢山」
テーブルの上には山盛りの料理がびっしり置かれている。レオンくんもイリスちゃんも満足そうな顔で頬張っている。
「美味いのじゃ~~~美味いのじゃ~~~。いっぱい食べるのじゃ~~~」
ホーラちゃんは両手に大きな肉を持ち、がぶりがぶりとかぶりつく。
遠慮がちに食べていた魔族や獣族達が、それを見て、がぶりがぶりと食べ始めた。
本当に美味しく、楽しい楽しい歓迎会だった。
魔王が立ち上がり言う。
「勇者よ。魔族の未来を託す」
獣王が立ち上がり言う。
「勇者よ。獣族の未来を託す」
そして魔王と獣王が口を揃えて言う。
「「最後の晩餐は終わった。命尽きるまで戦おうではないか」」
「「「 オオオォ~~~。魔王様と共に 」」」
「「「 オオオォ~~~。獣王様と共に 」」」
魔族も獣族も武器を手に立ち上がる。
え~っと……誰と戦うんだろ?
笑顔の獣族が僕に言う。
「さあ、戦いましょうぞ」
「えっ? え~っと……誰と?」
僕の周りには沢山の獣族と魔族しかいない。
「え? え? う 受け流し」
僕は慌てて剣を取り出し、受け流す。
笑顔の獣族が剣で僕に斬りつけて来たのだ。
「え? 受け流し。受け流し」
僕の周りの獣族や魔族が僕に攻撃を。
「魔法剣、神速烈風斬り~」
「魔法弓、雷神速矢」
「焼き尽くすのじゃ。地獄業火~」
レオンくんもイリスちゃんもホーラちゃんも獣族や魔族と戦っていた。
っていうか、部屋の中で火魔法の広範囲はダメだよね。
「勇者よ。力を示せ。我ら獣族の未来を託せる力があるとな」
意味が分からない。
さっきまで笑顔で一緒に食事をしていたのに。
って、僕がホーラちゃんとイリスちゃんを守らないと。
レオンくんが守りながら戦ってくれている。
レオンくんの周りには……沢山の獣族と魔族が血を流し、倒れていた。
レオンくんもイリスちゃんもホーラちゃんも手加減していない。それは獣族も魔族も同じで、僕達を殺すつもりで襲って来ている。
全く意味が分からない。
でも、イリスちゃんとホーラちゃんを僕が守らないと。
僕は槍を取り出した。
「神奥義。50連続突き~~~~~」
僕の手加減抜きの攻撃。
30人近い獣族魔族が倒れていく。
それでも向かって来る獣族魔族。
「神奥義。50連続突き~~~~~」
「神奥義。50連続突き~~~~~」
「神奥義。50連続突き~~~~~」
「神奥義。50連続突き~~~~~」
「神奥義。50連続突き~~~~~」
「君は強すぎるよ。だから、死んでよね」
僕が神奥義を放ち終わった瞬間、そんなことを言いながら、黒髪の男性が剣で斬り付けて来た。
僕は剣を取り出す。
「受け流し」
「ヘェ~、隙きをつけたと思ったんだけどな~。これならどうかな~。連撃嵐」
「受け流し」
僕は黒髪の男性の連続斬りを全て受け流す。
「全て防ぐなんて、スキルなのかい?」
「うっ。痛いっ」
黒髪の男性が剣ではなく、僕に蹴りを。
「横斬り~。斬り下ろし~。斬り上げ~」
僕の剣は当たらない。
黒髪の男性に余裕で回避されている。
僕の動きの方が速いと思うのだが。
「受け流し。ぐふっ。痛いっ」
黒髪の男性の剣での攻撃は全て受け流せるのに、蹴りは避けることが出来ない。
剣では無理なのかも。痛いのは嫌だけど、早く倒さないと。
レオンくんが魔族達と戦いながら、魔王とも戦っている。
イリスちゃんが獣族達と戦いながら獣王とも戦っている。
ホーラちゃんが沢山の沢山の獣族魔族と戦っている。
僕の相手は黒髪の男性が1人だけ。
僕は防御を諦めることにした。
剣を指輪に戻し、槍を取り出す。
「受け流しは剣のスキルだよね? 大丈夫なの? 連撃嵐」
痛い、痛いよ。この攻撃は20連続斬りだったんだね。
全ての斬撃は見えないけど1撃のダメージは1。体力が20減っていたので20連続斬りに間違いないと思う。
「神奥義。50連続突き~~~」
黒髪の男性は僕の突きを剣で受け流しながら、後ろへと下がっていく。
そして僕の槍が届かない場所まで一度も当たらずに下がっていった。
「凄い技だけど、君は槍術を習ってないでしょ。僕の攻撃は当たる。君の攻撃は当たらない。さあ、どうする? 連撃嵐」
僕に走って近づきながら、そんなことを言う黒髪の男性。
確かに防御を考えるなら、そうかも知れない。
でも僕は防御は考えてないんだよね。
「神奥義。50連続突き~~~~~」
黒髪の男性の攻撃を僕は攻撃で迎え撃った。
痛い。
痛いけど、僕の攻撃も当たる。
黒髪の男性の身体に突きが3回当たる。
黒髪の男性は攻撃を止めて、僕の攻撃を受け流しながら下がっていく。
「僕の攻撃の番だったと思ってたのに、君には常識がないのかな」
「痛いのは嫌なんだけど、レオンくん、イリスちゃん、ホーラちゃんを守らないといけないんだ」
「守る? 君の仲間達もチートでしょ」
レオンくんは……イリスちゃんも……ホーラちゃんも問題なく戦えていた。
僕はホッとした。
「すぐに終わらせましょう」
僕は前に出た。
槍の攻撃範囲内まで近づいたけど、更に近づく。
「僕に当てることは出来るかな?」
僕は槍を振らない。
僕は近づき、待つことにした。
「攻撃して来ないなら、先に魔王と獣王を倒しますよ」
「僕の攻撃なんか気にならないのかい? 君は戦いを舐めてるよね。神奥義、光輝星剣」
黒髪の男性の剣が光輝いている。
でも僕は気にしない。
「神奥義。50連続突き~~~~~」
「本当に魔王なのか? 複数人で襲って来て、この程度なのかよ。魔法剣 神速風斬り~」
「ぐふっ。我が勇者でもない者に手も足もでぬとは」
「降伏しろ。アルクは俺なんかより、更に更に更に更に強いぞ。ヘンタイだから何度攻撃しても倒せないしな」
「我らに降伏はない。全員死を望んでいるので気に病む必要はない。もちろん我もな」
「意味分からないが、俺は容赦しねぇ。魔法剣、神速風斬り~~~」
「魔法弓、雷神速矢~」
「ぐっ。さすが勇者の仲間」
「私はエルフ王タムンヤの孫イリス。お祖父様の仇は取らせてもらうわよ」
「ドルゥガ様は勇者に獣族の未来を託していたのだ。それなのに魔将ごときに敗北した。その後、獣族がどうなったのか貴様に分かるのか~」
「知らないわよ。勇者が弱かったなら、一緒に戦えばよかったでしょ。魔法弓、雷神速矢~~~」
「貴様達は預言者あつしを信じているのじゃな。妖精女王ホーラのわらわが誓おう。全てを終わらせると。もう、あんなルールに縛られることなく生きていける世界にしてみせると。火魔法、超大爆発~~~」
「アルクの勝利に乾杯~~~」
「「「 乾杯~~~ 」」」
「お肉~~~」
「ぷはー。で? アルクちゃんは何を倒したの?」
「魔王と獣王を倒したそうだ」
「あれ? 停戦したんじゃ?」
「さあな。魔族獣族連合の魔王軍を全滅させたと聞いてるぞ」
「全滅? よく分からないけど、アルクちゃんの勝利に乾杯~~~」
「お肉~~~。美味美味~~~」
アルクのダンジョンのスライムは…………最後の戦いが迫ってるのを感じていた。
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