第22話 さらなる力?
「わらわの眷族達よ。わらわに力を貸すのじゃ」
ホーラちゃんがそう言うと4つの光の玉が現れた。
空中に浮いている4つの玉の色は赤色、緑色、青色、茶色。
『オレが力を貸すのはレオンだろ』
赤色の玉がそう言うと緑色の玉がイリスちゃんに近づく。
『ワタシはイリスね。風の大精霊のワタシが味方すれば、この子は強くなれるわよ~』
茶色の玉が僕に近づいて来た。
『オイラは土の大精霊ノーム。よろしくな』
え? 大精霊? 勇者達に力を与えたっていう4大精霊? これで僕も強くなれる?
僕達の周りを飛び回る青色の玉。
『ふぇ~~~。いないわよ~~~。ワタシが力を与える勇者の仲間が~~~』
泣き声で叫びながら、僕達の周りを飛び回る。
「待つのじゃ~。勘違いしないのじゃ~~~」
ん? 勘違い?
『ホーラ様~。どうした~。オイラは勇者を強くするんだろ~』
『ねぇ、ねぇ。ワタシは~~~』
『分かってるわよ~。イリスをめちゃめちゃ強くするのよね~~~』
『それならオレに任せろ。レオンを歴代最強の剣士にしてみせるぜ~』
「だから、違うのじゃ。アルクにも、レオンにも、イリスにも必要ないのじゃ。必要なのは、わらわ。妖精女王ホーラが命じる。わらわに力を。わらわを進化させるのじゃ~」
え? 妖精? 妖精女王? え~っと……僕は強くなれないの?
4つの光の玉はホーラちゃんの周りをくるくる飛び回り、ホーラちゃんの身体の中へと消えてしまった。
「おいおい。勇者とその仲間に力を与えるのが妖精女王の役目じゃないのかよ」
「ふふっ。アルクくんには必要ないけど、私には力を与えて欲しいな~」
「何を言っておるのじゃ。一番弱いのはわらわなのじゃぞ」
え~っと……僕達に力を与えてくれるって言ったのはホーラちゃんだよね……。
魔王軍が大規模に攻め込んで来る前に、各国から精鋭を派遣して魔王討伐隊を編成すると言っていたのに……なぜか僕達だけで魔王を倒しに行くことに。
僕は勇者じゃないし。
レオンくんとイリスちゃんはたぶん10歳くらいだし。
ホーラちゃんは幼すぎる。まだ6歳くらいじゃないのかな?
それに仲間も1人足りてない。
僕達に死ねって言ってるの?
ホーラちゃんが心配するなと。僕達の力を強くしてくれると言ってくれていたのに。
言ってくれていたのに。
「さあ、アルク。決めてくれ」
「え? 急にそんなこと言われても」
「ふふっ。私は先に獣族を味方にした方がいいと思うよ。でも私はアルクくんの判断に従うよ」
「わらわは残りの12魔将を倒した方がいいと思うのじゃ。もちろん、わらわもアルクの決断に従うのじゃ」
「アルクの力があれば、このまままっすぐ魔王城に行って、魔王を倒した方がいいと思うぞ。まあ、決めるのはアルクだけどな」
獣族……。魔将……。魔王……。どれも嫌なんだけど。
「先に本当の勇者を探そうよ」
「「「 却下 」」」
え~~~? 従うんじゃなかったの?
「それじゃあ、仲間を増やそう」
「「「 却下 」」」
え? 仲間が増えるのもダメなの? 自分達の手柄が減るとでも思ってるのかな? まだ子供だから。
「人族とエルフ族の精鋭を集めてもらって、攻め込んでもらっている隙きに魔王領に入るのは? そしたら、こっそり、情報を集めることが出来るかも知れないし」
「「「 却下 」」」
え? ダメ? いいと思ったのに。
「まあ、情報を集めるのは悪くないな」
「ふふっ。そうね。情報集めも大事だよね」
「そうじゃな。とりあえず行ってみるか」
あれ? 僕の意見が通った?
って思っていたのに、僕達は魔王領へと入っていく。
たぶん先頭を歩いているレオンくんは何も考えずに、まっすぐ進んでいるだけだと思う。
堂々と進んでいるので、魔物だけじゃなく、魔族も、何度も何度も襲いかかって来た。
情報収集が目的なんだから、隠れながら進んだ方がいいと思うんだけど……。
僕達は運がいいことに、未だに強い魔物や魔族と遭遇していない。
無計画なレオンくんとイリスちゃんとホーラちゃん。
弱い魔物や魔族と、楽しそうに戦いながら進んで行く。
「アルクの勝利を祈って、乾杯~~~」
「「「 乾杯~~~~~ 」」」
「お肉~。今日も美味しい~」
「ぷはー。で? で? アルクちゃんは何と戦うの?」
「魔王だよ、魔王。ひたすら魔王城に向かって進んでいるらしい」
「「「 え? 魔王? 」」」
アルクのダンジョンのスライムは……出番を待っている。
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