第10話 盗賊王達の装備






あのスライムも体力を大幅に上昇しているだろうから回復薬が重要になるだろう。









「アルク、さすがに、もうそろそろいいんじゃないのか?」


「だよね。もう30日目だよ」


「まだ338個しかないからね」


「なあ、薬草玉は回復力5しかないんだぞ。こんな無駄なことをしなくても、上級ポーションを買った方が絶対にいいって」


「私は他のダンジョンで3人のレベルを上げた方が今後のためにもいいと思うよ」


魔物がどこから現れるのかも分からないダンジョンでレオンくんとイリスちゃんを守りながら戦う自信はないんだよね。


「じゃあ、後3日だけ」


僕がそう言うとガックシと肩を落とすレオンくんとイリスちゃん。














「アルク、買って来たぞ」


「あれ? レオンくん、どこかに行ってたの?」


「はぁ~。暇すぎるから、ギルドで上級ポーションを10個買ってきたんだよ。上級ポーションの回復力は300だから薬草玉の60倍。薬草玉600個分になるから、もういいだろ」


「え? そんなお金持ってたの?」


「俺もS級冒険者だって言っただろ」


そうだった。レオンくん達はお金持ちの子供だったんだよね。








上級ポーションを使うのはもったいないって思うけど、30日間暇を持て余していたレオンくんとイリスちゃんに説得されて、仕方なくダンジョンに。




《 バタンッ 》



「あれ? 何もないね?」


「アルクがもたもたしてたからだろ」


「1ヶ月だからね。噂だと2~3日くらいで吸収されちゃうみたいだよ」


「え? 吸収? 誰に?」


「ダンジョンだよ。アルクくんは聞いたことなかったの?」


「ダンジョンが吸収?」


「ああ、ダンジョンは生きてるからな」


「生きてる? って、危ない」


僕は前に出た。スライムが地面を物凄いスピードではいながら、向かって来ていたのだ。


「グハッ」


スライムの体当たりが来ると分かっていたのだが、物凄く痛い。


そして、いつもの攻防が続く。





「アルク、俺の回復魔法分の魔力は消費していいぞ」


「そうだよ。私も回復魔法使えるんだから」


そう言われると、その分くらいは。


「レオンくんとイリスちゃんの魔力量と使える回復魔法は?」


「俺もイリスも上級回復魔法が使えるぞ。必要魔力量は50で体力を300回復させられる。俺の魔力はイリスよりも少ないが1098あるぞ」


え? そんなに? 上級回復魔法が……21回も? だとすると体力を6300回復出来るってことだよね。


「私の魔力は1237だよ。何度も言ってるけど、S級冒険者なんだよ」


え? え? そんなに? あっ。そうだ。


「レオンくんとイリスちゃんは同じ指輪をつけてるよね。魔道具?」


「これは魔力の指輪だ。A級のな」


やっぱり。2人はお金持ちの子供だからね。


「連続連撃~~~」


僕は2人の魔力を頼ることにした。











アルク

レベル40

HP 146/2255

MP 0/2109



魔力切れか。やっぱり体力が物凄く増えてるね。


僕はレオンくんとイリスちゃんに回復してもらいながら、スライムといつもの攻防を続ける。











「横斬りに振り下ろし~」


僕は安堵する。


ようやくようやくスライムが萎んでくれたのだ。


長かった~。さすがに体力増えすぎだよ。次はどこまで増えるんだろ?






















「アルク、テメェは何しやがった?」


「え? 僕は何も?」


「じゃあ、これは何なんだよ。これも、これも、これも、全部だぞ」


めちゃくちゃ怒っているヤマラさん。


僕は何もしていないのに。


「これは本当に盗賊王ガンテの槍ですよ」


「はあ? ガンテの槍はS級だったんだぞ。槍聖と呼ばれていたS級冒険者シンが使っていたな。だから、誰でも知ってるんだぞ。ガンテの槍の特徴も等級も詳しくな。その他の武具もだぞ。なのになのに、何なんだよこれは?」


「間違いないのに。間違いないよね、レオンくん、イリスちゃん」


2人は盗賊王ガンテの槍も防具も幹部達の武具も見ているので、頷いてくれると思ったのだが、僕から目をそらすレオンくんとイリスちゃん。


え? どうして?


ヤマラさんは頭を抱えながら言う。


「はぁ~何て説得すりゃあいいんだよ~。盗賊王ガンテの討伐の証だから、誤魔化せないし」


「え~っと……買取は?」


ヤマラさんが僕を睨む。


「買い取れるわけねぇだろうが。そもそもアルク専用になってるし、なってなくても、買い取れる金がねぇよ」


そう、盗賊王ガンテの槍はなぜか僕の専用装備になっていたのだ。


「あ~どうすりゃいいんだよ。さすがにバレるからな」


「バレるって? 何がですか?」


「はぁ。アルクだけが知ってるダンジョンの存在がだよ。この街の側にあるんだろ。もちろん、俺は秘密を守るし、詮索もしねぇ……つもりだったが、はぁ~、さすがにこれはな」


え? ダンジョンの存在がバレた?


僕が困惑しているとレオンくんが口を開く。


「これだけは言っておくよ。アルクのダンジョンには入るな。絶対に生きて出られないからな」


イリスちゃんも言う。


「だよね。S級冒険者の私とレオンでも、全く役に立たないんだからね。アルクくん、ヤマラさんにはダンジョンについて話した方がいいんじゃないかな。次に入るなら、たぶんS級冒険者でも一撃で殺られちゃうだろうし」


ヤマラさんは何も言わずにじっと僕の答えを待っているようだ。


「え~っと……北の小さな森にダンジョンがあります。ダンジョンは1階層だけで、それもボス部屋のみです」


「1階層? ボス部屋のみ? ってことはダンジョンに入るとダンジョンボスを倒さないと出られないってことだな」


ヤマラさんは再び頭を抱えながら、机に顔を伏せてしまった。










ダンジョンで死んでしまうとダンジョンに取り込まれてしまう。


ダンジョンに取り込まれてしまった装備品は大量の魔素を取り込み進化するのだと。


そしてダンジョン内のどこかの宝箱の中に入るのだと。


もちろん盗賊王ガンテの装備や幹部達の装備も。


あのダンジョンの宝箱はダンジョンボスであるスライムを倒した時の1つだけ。


全ての武具が宝箱の中に入ってたんだよね。


進化してね。




盗賊王ガンテの装備品が進化

SSS級の魔槍 アルク専用

S級の魔鎧

S級の魔盾

S級の魔力の指輪

S級の力の指輪

S級の守の指輪

S級の空間収納の指輪


もちろん幹部達18人の装備品もね。
















「アルクお兄ちゃん、美味しい~~~」


「アルクお兄ちゃん、これは魚って言うんだって。と~っても美味しいね」


「アルクちゃん最高~~~。ぷはー。今日も死ねまで飲むわよ~~~」


「盗賊王討伐に乾杯~~~。」









「お会計は小金貨9320枚になります」


「え? え? え? また増えた?」


盗賊王を討伐したお祝いってことで、討伐隊に参加予定だった人達も集まってくれてたみたいだけど……高すぎだよね?






アルク

レベル40

HP  62/4255

MP 0/3109


SP 33   

EX 179952


常備スキル 新たな英雄、歴戦の探索者、ぼっちの剣士、伝説の魔剣使い、ドMの魔鎧使い、超ドMの魔鎧使い、剣速王、魔鎧を着たドM神、闘神


スキル 剣技【受け流し】、【痛感軽減】、【連撃】


魔法 初級回復魔法


装備:A級の魔剣、F級の盾、A級の魔鎧


アイテム:薬草玉341粒


所持金   金貨133979枚




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る