第3話 プール掃除
月曜日の授業後、部活動の集合場所であるプールに行くと、茜先輩はプールサイドで待っていた。
「千尋君は着替えてきてね」
「はい」
僕は男子更衣室で汚れてもいい服装に着替えた。そして、プールサイドにいる茜先輩に何をしたらいいかを聞くと「まだ先生が来ていないから、もう少し待っててね」
「ありがとうございます」
僕はそう言って茜先輩の隣で待機していた。
その間に僕の悩み事を頭の中で考えていた。それは、茜先輩が着ているタイプの制服を着てみたいことだった。ちなみに茜先輩が着ている制服は、紺色のブレザーに同じ色のベストに、箱ひだのスカート、鮮やかな赤色のネクタイだ。
茜先輩たちの次の代であの制服が終わりになって、僕たちの代からは全体的に黒を基調とした制服になっている。ただ、茜先輩の代の男子制服は詰襟だったので、詰襟が嫌な僕にとっては、まだよかった。
そんなことを話していると、坂本先生が来てプール掃除の説明が始まった。
今日はプールのふちを掃除するらしい。
僕は茜先輩から詳しい説明を受けた。
そして僕は茜先輩が言った通りにプールのふちを掃除した。
その間坂本先生はプールの管理室の中を掃除していた。
管理室の中は先生しか入れないので、先生が掃除をすることになっていた。
プールのふちは30分ほどできれいになった。
その後はプールの壁を掃除した。壁の汚れはそこそこあったのでプールの壁の汚れを落とし終わると、その日の活動時間は終わってしまった。
その日の帰り、校門でスマホを触っていると、茜先輩が僕のところに来た。
「千尋君、一つ質問したいことがあるんだけど、一年生たった一人で寂しくない?」
「別に寂しくはないです」
「それなら良かった。あと、何か困っていることとかない?」
「一つ悩み事があります」
「私でもよかったら聞いてあげるよ」
「実は、茜先輩の代が着ている制服についてです」
「確かにこの制服かわいいからね~」
「実はこの制服着てみたいです」
僕は茜先輩に嫌われる覚悟で言った。
「そうだったんだ。文化祭とかで一回着てみたら。それかもし、私のでもよかったら今度ー」
風の音でうまく聞こえなかった。
「すみません、よく聞こえませんでした」
「もし、私のでもよかったら今度着てみない?」
「いいんですか?」
「もちろん。一回着てみたらいいと思うよ」
「ありがとうございます」
「今度の土曜日空いてる?」
「はい、空いてます」
「朝10時ごろにここにここに集合ね」
「ありがとうございます」
僕は茜先輩に「さようなら」と言って下校した。
そしてその週の部活はひたすらプール掃除だった。
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