【エピローグ(ペプクス)】私は神







私の生み出した子達は、いつも喧嘩ばかりしていた。


それを見かねた私は罰を与えた。


7日間だけ雨を降らせたのだ。


……


……


……






私の生み出した子達はいなくなっていた。



















私は新たに生み出した。


しかし、また喧嘩ばかりしている。







私は隕石を1つだけ落とした。











私の生み出した子達はいなくなっていた。











私は何度も生み出したが、


この世界には誰もいない。









私は神。


だが私を崇める者は誰もいない。









私は神に向いていないのだろうか。










私は他の世界を見に行くことにした。











笑顔に溢れた子達。










私はこの世界の神に訪ねた。


私はどうすれば良かったのかと。




すると、この世界の神は答えてくれた。


何もする必要がなかったのだと。


見守るだけで、良かったのだと。




その答えは私の望んだ答えではなかった。


何もしないのなら神である私の存在が無意味なのだから。







何もする気の起こらなかった私をこの世界の神は受け入れてくれた。


私は見守った。


笑顔に溢れた子達は喧嘩もしていた。


この世界も私の世界と同じなのか。


ん? あの子は?


喧嘩を仲裁する者がいたのだ。





私はこの世界の神に訪ねた。


あの子は誰なのかと。





この世界の神は答えてくれた。


あの子は神なのだと。


私のように他の世界から来た神なのだと。






神が人の姿で、人と一緒に生活を?


私は信じられなかった。


しかし事実だった。


それも1人だけでなく、2人も。






私は見守った。









ずっと見守っていた。









ある時、この世界の神が私に言った。


しばらく留守にするから、この世界は任せたと。






見守るだけなのだから、何も問題ない。なかった。







私は見守った。








そんな私の元に他の世界の神がやって来た。


その神は絶望していた。


私と同じように自らが生み出した子達を滅ぼしてしまったのだと。





私はその神を受け入れた。


そして提案した。


地上で生活してみてはと。





その神は私の提案を素直に受け入れた。








同じように他の世界から神がやって来た。


何度も何度も。





私はその度に同じ提案をした。










私は見守った。







神々の間で争いが起きてしまったが、それでも私は見守り続けた。







神々の争いの勝者は竜の神。


他の神達は竜の神に従うようになった。


竜の神も、この世界の神が生み出した子達には遠慮していたのだが、この頃から……段々と……。







私は見守り続けた。


この世界の神が生み出した子達が竜の神が生み出した子達の奴隷にされてしまっても、私は何もせずに見守り続けた。


私より先にいた2人の神が竜の神と争いを始めても私は何もせずに見守り続けた。








しかし、本当に見守り続けるだけでいいのだろうか?


この世界の神が生み出した子達から笑顔が消え去ったというのに。


私はどうすればいいのだろうか。









私は


私は








私は戦った。


竜の神と。


私は自身が最強だと思っていたのだが、竜の神は強かった。


私は敗北し、封印されてしまった。







封印されてしまった私は見守ることすら、出来なくなった。


また私は判断を誤ったのだろうか?













私の封印が解かれた。


この世界の神によって。


この世界の神は竜の神と戦っていた。


力は互角。


だが、竜の神に味方する神が沢山いた。






この世界の神は敗北してしまう。









全ては私の過ち。








私はどうすればいいのだろうか。


何も分からない私はこの世界の神に聞いた。


すると、同じ答えが返ってきた。


見守るだけでいいのだと。


私に見守り続けて欲しいのだと。









私は見守り続けた。









私は知った。


竜の神を恨んでいる神々がいることを。


もし味方に出来れば……。


私は……。


私は何もせずに見守り続けることにした。
















この世界の神が消えた。


私よりも先に来ていた2人の神までも消えた。


私はこのままでいいのだろうか?


私には何も出来ない。


私には何もない。


ずっと見守り続けただけ。


しかし私は誰よりもこの世界を知っている。


この知識を活かす事が出来れば。







この世界の神と2人の神が消えた原因を探っていると、この世界の神が生み出した3人の子達がいた。


この世界の神が宿った子。


2人の神が宿った子。


そして自らの無力を嘆いている子。この子はまるで私のようだ。いや、この子は私とは違う。自らの意思で先へと進もうとしている。先へと。先へと。しかし、この子では、その先へとは進めない。





無力な子よ。


限界というものがあることを知りなさい。


無力な子よ。


……


無力な子よ。


……


無力な子よ。


……







無力な子よ。


もう嘆くのは止めなさい。





無力な子よ。


……


無力な子よ。


……


無力な子よ。


……








無力な子よ。


無力な私の力をあなたに。










私はこの子の中へ。










  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る