1話 新人冒険者アルス







アルス

年齢15

冒険者ランク→F

ギルドポイント→0



「これで、冒険者登録は終了になります。アルスさんもこれで冒険者です。依頼書はあそこの壁。仲間募集はあそこの壁とあの扉の奥の部屋になりますよ」


「ありがとうございます。S級冒険者目指して頑張ります」


「ふふふっ。無理せず着実にね」








壁に貼ってある依頼を見るとF級冒険者の僕ではほとんどが受けることが出来ない。


【スライムの間引き。オススメ場所は南の草原。1匹ギルドポイント1】


【薬草採取。オススメ場所は西の森の入口付近。1つギルドポイント5】


【街の清掃。1日銀貨2枚。ギルドポイント3】




西の森で薬草を探しながらスライム退治が効率的か?














スライムを倒しながら森の奥に進んでいると前から走ってくる人達が見えた。


「逃げろ、逃げろ~。一角魔兎の群れが来るぞ~」


僕にそう警告しながら、横を通り過ぎていく3人の男達。


「イリスちゃんが来てない」


「知るかよ。追いつかれれば全滅なんだぞ」


「お前が調子に乗るから」


「うるせ~」


森の入口の方へと走り去って行く男達。


もう1人、仲間がいるのか?


僕は男達の警告を無視し、走って森の奥へと進む。







そして3分程進むと地面の上に杖が落ちてるのが見えた。


杖だけか……。間に合わなかなったのか?


僕は耳を澄まし、周囲を確認する。







「助けて~」


遠くから女性の声が聞こえた。


僕はすぐに、その方向に向かって走る。


いたな。って少なくないか?


一角魔兎の群れだと聞いていたのだが、前方には一角魔兎が3匹だけ。僕に気づき、3匹が同時に僕の方へと走ってくる。


僕は剣を構え、一角魔兎の動きに合わせて剣を横に振る。


先頭の一角魔兎はそれだけで倒れ、動かなくなる。2匹目の一角魔兎が角を僕に向けて体当たりしてきたので、右に一歩だけ移動して回避し、3番目に向かって来た一角魔兎を先に剣を振り下ろして倒す。


僕に回避された一角魔兎はすぐに進行方向を変え、また僕に向かって来たので、僕は一角魔兎の動きに合わせ、軽く剣を横に振る。


「凄いっ。一瞬で素早い一角魔兎の群れを全滅させるなんて……」


声のする木の上を見ると短いスカートの中の白いパンツが眩しい……若い女性がいた。


「大丈夫ですか?」


僕の問いに、女性は笑顔で答える。


「えへへ。私、木登り得意なんですよ」


スルスルと木を降りてきた女性。かなり可愛い。


「僕はもう少し奥で薬草採取するつもりですが、どうしますか?」


「私はイリス。1人で街まで戻れる自信はないので、一緒にいいですか? 出来れば一緒に薬草の採取をさせてください」


「僕はアルス。新人冒険者で薬草採取に来たんだ。よろしくね、イリス」


「え? 新人? アルスくんのギルドポイントは?」


「0だよ。今日登録したばかりなんだよ」


「凄っ。新人で一角魔兎を倒せるなんて。そうか。冒険者になる前から魔物退治をしてたんだね」




僕が森の奥に進もうとするとイリスが僕の腕を掴んで来た。


「アルスくん。一角魔兎の素材を忘れてるわよ。肉を売るなら、すぐに街に戻らないとダメだけど、角と皮は高く買ってもらえるんだよ」


「僕はギルドポイントを優先したいから、別にいいよ」


「え? いらないの? わ、私が貰っても?」


いや、それだとイリスが解体するのに時間かかるよね。


僕は仕方ないので一角魔兎に触れ、空間収納の指輪を発動した。


「え? 消えた? もしかして……空間収納?」


「うん。S級の指輪だから、そこそこ入るよ。街に戻ったらイリスに返すから、先を急ごうか」


「い、いいの……。アルスくんの目的は私の身体? ダメだよ。お金は欲しいけど、私はE級以上の冒険者としか付き合わないって決めてるんだからね。だから、これで我慢してね」


何を勘違いしたのか、イリスが僕の正面から抱きついて来た。


そして僕に微笑みかけると、背伸びをして顔を近づけてくる。


僕の唇に柔らかな感触が。重なった僕の唇とイリスの唇。


僕の鼓動は爆発しそうなほど大きな音を出している。


特殊スキルを持たずに苦労していた若い頃の僕には女性と青春を楽しむ余裕はなかった。仲間に恵まれてからも、足を引っ張らないようにするために、毎日毎日必死だった。


「えへへ。続きはアルスくんがE級冒険者になってからだよ」


可愛いく微笑むイリスに惚れてしまいそうだよ。















街に戻れると僕達はすぐに冒険者ギルドへ。


「凄いですね。薬草が104個で、520ポイント。スライムが602匹なので合わせると、ギルドポイントは1122になります。ギルドポイントが1000超えましたので、アルスさんはE級冒険者に昇格です」










「アルスくん。助けてくれて、ありがとう。そして昇格おめでとう。それからそれから、2人の出会いに乾杯~」


美味しそうにビールをグビグビと飲み干していくイリス。


昇格してE級冒険者になった僕はイリスに認められたのか、食事を終えると一緒に宿に泊まることに。





イリス

年齢20

レベル5

職業→魔法使い


笑顔の可愛い長い金髪の女の子。













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