死ぬ直前にチートスキルが開花したのですが、神様、忘れてたのですね。

あつし

【プロローグ】








ベッドの上の僕は仲間達に見守られながら、生涯を終えようとしていた。


もう、目を開くことも、口を開くことも出来ない。


僕は頑張った。


特殊スキルを持って生まれるのが当たり前の世界で僕だけが持っていなかった。


それでも僕は仲間達の助けを借り、最高ランクのS級冒険者にまで昇り詰めることが出来たのだ。


苦しくも、良い仲間達に恵まれた充実した人生だった。


皆、ありがとう。僕は先に逝くよ。










{神様、神様~。見てください。この人、ないですよ

。神様の力が。忘れてませんか? このままでは転生出来ません。大神様にバレると、大目玉ですよ~}


{ペプクス、私が忘れるはずが……。……。……。ふむ。今から付与しても、問題ないでしょ。どうせ、残された時間はあと僅かですからね。ペプクス、このことは内密に}





知らない人達の話し声が聞こえるのだが……これは僕の妄想なのか?


って思った次に瞬間、ステータス画面にメッセージが現れた。


【ステータス調整】のスキルを得た。


は? 何だこれは? 特殊スキルを持つことに憧れていた僕の妄想なのか? 


そんな風に思いながらも僕はステータス調整を選んでみる。





オルス

年齢82

レベル97

職業→剣士

装備→なし

老衰→全ステータス99%ダウン




何だ? これは? 調整って何が出来る? ん? なるほど。名前を変更することが出来るのか。なら英雄の。ん? 年齢も?




アルス

年齢81

レベル96

職業→剣士

装備→なし

老衰→全ステータス80%ダウン



おおっ。寿命が延びたのか? あれ? レベルが下がったか?




「容態が安定していますね。どうやら、もうしばらく大丈夫かと」


「ははは。さすがオルスじゃな。シブトイ」


「オルス。また明日来るよ。粘り過ぎると儂らの方が先に逝ってしまうからな」


「オルス。今まで頑張って来たのじゃ。もうそんなに頑張る必要はないのじゃぞ。また明日な」





本当に寿命が延びたのか? ってことは更に年齢を下げると……。




アルス

年齢15

レベル30

職業→剣士

装備→なし





僕は誰もいなくなった病室で起き上がる。


目の前の鏡には若き日の僕が映っている。




もしかして……本当に僕に特殊スキルが開花した?




人生をやり直すことが出来るってこと? なのか?














僕は誰もいない自宅に戻ると装備品を手にし、誰にも気づかれることなく街を飛び出した。





辛かった青春時代をやり直すために。






ベテラン冒険者オルスと新人冒険者アルスの伝説が始まる。












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