第29話 奴隷商で奴隷を見せてもらおう

ソロでのダンジョン攻略に限界を感じてきたソラはギルドで紹介された奴隷商へと足を運ぶ。


「ここが奴隷商か・・・。僕には一生縁がないと思ってた。あっても奴隷にされる側ならありえる話だけど・・・」


奴隷商に入ると声を掛けられた。


「いらっしゃいませ。ようこそいらっしゃいました。今日はどのようなご用件でしょうか?」


(なんか暗い雰囲気を想像してたけどそんな事ないんだな・・・意外だ。)


「あっはい。僕は冒険者をしてるんですが、一人だと思うように攻略も進まないので、奴隷はどうか?と言われて一度見に行こうと思いまして・・・」


「なるほど。大丈夫ですよ。冒険者の方はけっこうここで奴隷を購入されますから。奴隷商に来るのは初めてですか?」


「はい。」


「では、奴隷について説明させて頂きますね。私どもの奴隷商で扱っている奴隷は借金奴隷という借金が払えなくなってここに売られた奴隷と、犯罪奴隷という、犯罪を犯して、奴隷になった者の2種類の奴隷が折ります。」


「犯罪奴隷!?・・・犯罪者はちょっと・・・」


「そうですね。皆さまそう言われます。ですが、冒険者に向いているのは犯罪奴隷の方ではあります。うでっぷしの強い男性が多くいますので・・・」


「借金奴隷の方でお願いします!!」


(犯罪者はやっぱりいやだな~。今日は見せてもらうだけだし・・・)


「わかりました。借金奴隷で冒険者として行動できる方ですね。どうしましょうか?部屋に候補の奴隷を案内しましょうか?それとも直接見に行かれますか?」


「う~ん・・・直接案内してもられますか?」


「かしこまりました。準備致しますので、少々お待ちくださいませ。」


対応してくれた男性はそう言うと、その場を離れて行った。


「ふ~っ。緊張した。奴隷って僕にはまだ早すぎるのかな・・・」


そうして男性が戻ってくるのを待っていると、

「お待たせしました。それでは案内致します。」


男性について行き、階段を降りていく。地下2階、3階、と降りていき、地下4階で止まった。


「ここにいるんですか?」

「はい。地下2階と3階は主に犯罪奴隷の方がいます。え~と・・すいません。名前を伺っておりませんでした。」


「あっすいません。ソラと言います。」

「ソラ様ですね。ソラ様は借金奴隷をお探しという事でしたので、地下4階と地下5階を案内させて頂きます。」


地下4階に入ると、通路があって、両端には牢屋のように鉄格子があって、その中に奴隷と思われる人が1人座っている。


通路の奥までは長い。地下4階には20名程の奴隷がいるみたいだ。


「それでは案内致します。ここには20名の借金奴隷がいます。鉄格子には触れないで下さい。もしかすると奴隷が襲ってくるかもしれませんから。」


「そうなんですか?」

「めったにあるわけではありませんが一応です。」

「わかりました。」


ソラは地下4階の奴隷を見ていく。

少年、少女、少年、少年、少女、女性、男性、少年、少女・・・


「僕と同じぐらいの人が多いんですね?」

「ええ。借金奴隷と言っても、借金が払えなくなって、子供を売るケースが一番多いんです。自分自身を奴隷にする事もありますが、子供が売られてくるのが一番多いですね。」


「僕は冒険者ができる人を探していますが、こういった人はどのような人が買いにくるのですか?」


「そうですね・・・貴族とか商人の方ですね。小間使いや雑用をやらせる感じですかね。後は・・・・愛玩用にされる方もいらっしゃいます。」

「・・・。」


(う~ん。見ても全然わからないや。鑑定してもどうせ名前しかわからないし・・・。鑑定をレベル5まで取るか。今はスキルポイント12あるから、運が良いのか悪いのかレベルマックスまで取れるし・・・。)


ソラは迷った。奴隷を買う為に大事なスキルポイントを使って良いものか・・・。と。


「すいません。この中で冒険者向きの奴隷の方はいるんですか?」

「そうですね。あそこにいる男性の方と、そっちの獣人の女性は冒険者向きですね。男性は冒険者として活動していた過去がありますし、獣人は基本的に身体能力が高いですから。」


(男性って・・・おっさんじゃん。ちょっと無いな・・・)


「獣人の子と話す事はできますか?」

「大丈夫ですよ。鉄格子越しに話しかけてみてください。」


ソラは獣人の女の子がいる場所に向かって話しかけた。

「こんにちわ。」

「・・・こんにちわ。」


「僕は今、冒険者としてダンジョンを攻略してるんだけど、一人じゃなかなか攻略できなくてね。一緒にダンジョンを攻略してくれる仲間を探してるんだけど、キミはダンジョンとか行った事ある?」

「ない・・・だけど・・・買ってくれたら頑張る。」


「魔物と戦った事はある?」

「ある。親と森で狩りした事ある。」


(う~ん。どうなんだろ・・・。年齢的には僕と同じぐらいだと思うし、身体能力が高いって言ってもどれほど高いのか全然わからないし・・・)


「あっそういえば値段を聞いてませんでした。あまりお金は持ってないんですが、奴隷ってどれぐらいの金額がするんですか?」


「そうですね。犯罪奴隷が1万ゴールドから2万ゴールドぐらいで、借金奴隷はその人の借金額にもよりますが、概ね3万ゴールドから5万ゴールドぐらいですね。ちなみにソラ様が話されている獣人の奴隷は4万ゴールドですよ。」


(!?何この偶然!?この人僕の所持金知ってるの?・・・)


スキルポイントは鑑定をちょうどレベルマックスにするだけのポイントが余っており、所持金も丁度奴隷を買える金額を持っていた。


ソラはとても悩んだが・・・今日は奴隷を購入せずに帰る事にした。


獣人の奴隷は購入されなかった事で落ち込んでいた。その姿が脳裏から離れないソラだった・・・。

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最強チートのアイツと成長チートの僕。邪神の呪いを受けたキミを救うのは・・・ ベルピー @hiromi0033

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