第23話 21階層を突破したソラ

レベルを上げ、スキルポイントを割り振り、質の高い武器を手に入れたソラ。目指すは『Fのダンジョン』の21階層だ。


1週間前に挑んだ時は1体の魔物を倒しただけでボロボロになり、すぐに引き返した。それから再挑戦の為に努力を続けたソラは本日21階層に再挑戦する。


「よし。今日は21階層に再挑戦だ。勝ったばかりの黒魔剣も持ったし大丈夫だろ。これでダメならもうソロでは無理って事だな。」


ソラは『Fのダンジョン』の21階層へ向かった。


21階層に着くと、前回のように慎重に先に進んで行く。するとすぐに魔物を見つける。


「いた!あれはイエローオーガか。」

ソラはイエローオーガに黒魔剣を振り、魔力を飛ばす。イエローオーガはまだこちらに気付いていなかったので、魔力の刃はイエローオーガに直撃する。


魔力の刃を受けたイエローオーガは胴を両断されて一瞬で魔石に変わった。


「えっ!?」

ソラは一撃で魔物を倒せた事に驚いた。


「やったぞ!!。黒魔剣が強いのか。魔力の刃が強かったのか。僕のステータスが高かったのか。よくわからないが、前回よりも攻略できそうだな。まあ前回はミノタウロスで苦戦したから、ミノタウロスが出るまでは油断できないけど・・・」


ソラは気づいていなかったが、ミノタウロスもイエローオーガも強さとしては同じぐらいだった。


その後もソラの攻略は順調に進んでいった。


キメラやビッグベア、アントの群れ、ゴブリンの群れが現れたがソラは次々と倒して行った。遠距離から魔法と魔力の刃を放ち、接近戦は身体強化を使って安全に倒して行く。


前回苦戦したのがウソのように魔物を狩る事ができた。


「順調に攻略できているな。後はミノタウロスだ・・・。初めて会った時は『Aのダンジョン』で、怖くて逃げた。2回目はここで会って倒せたけど、力を使い切ってそれ以降は何もできなかった。3度目は・・・やるぞ!!」


ソラは気合を入れて21階層の探索を行う。下に降りる階段はすでに見つけていた。だが、今日の目標は21階層でミノタウロスを倒す事!と決めていたソラはこまめに休息をとりつつ、21階層の魔物を狩りながらミノタウロスを探していた。


「会いたくないときはすぐに出るのに、見つけようと思うとなかなか出会わないモノだな~。」


ソラは探索を続けた。


21階層以降もソロでやっていけると確信したので、ミノタウロスを探すのを諦めて帰ろうかと思った時、


「ブモオォォーーーー」と魔物の叫ぶ声が聞こえた


「この叫び声は!!」

ソラは声の聞こえた方に走って行く。


するとそこには、

ミノタウロスと、ミノタウロスと戦う冒険者パーティーの姿があった。


ミノタウロスは斧を振り上げていた。その目の前には大きな盾を構えている鎧をきた冒険者。その後ろに剣を構えた男性冒険者と、床に座って冒険者を抱えている女性冒険者がいた。


「倒れている人がいる劣勢なのかも。」

ソラは冒険者が先に戦闘をしていたら横から戦闘に入るのはマナー違反だと学んでいたので、冒険者パーティーに声を掛けた。


「大丈夫ですか?助けはいりますか?」

すると、剣を構えた冒険者が、


「助かる。一人やられたんだ。頼む。」


ソラはその言葉を聞くと、ミノタウロスに向けて魔力の刃を放つ。


温存なんかは考えない。向かってこれないように連続で魔力の刃を放った。


ミノタウロスを斧をうまく使って魔力の刃を防いでいたが、3つ目の魔力の刃を受けた時に防御が間に合わず持っていた斧は弾き飛ばされた。


チャンスと見たソラは身体強化を使ってミノタウロスに接近し、そのままミノタウロスの頭から足に黒魔剣を振り下ろした。


ミノタウロスは防御もできず頭から剣を受けた。黒魔剣の一撃を受けた、ミノタウロスは身体の中心から左右に倒れていき、魔石とポーションのようなビンをドロップして消えて行った。


(ふ~。リベンジ達成だ。1週間努力したかいがあったな。これで『Fのダンジョン』も自信を持って攻略していけるぞ。)


ソラはドロップアイテムと魔石を回収して冒険者の元に向かう。


「大丈夫でしたか?」

「ああ。おかげで助かったよ。それにしても君は強いんだな。一人なのか?」


「はい。僕はソロでダンジョンを攻略してるんで。倒れてる方は大丈夫ですか?ポーションぐらいなら持ってきてますが?」

「本当か?なら分けてもらえないだろうか?やられたのが俺達のパーティーの回復担当のヤツなんだ。」


ソラは冒険者達にポーションを渡す。


「ありがとう。この御礼は必ずするよ。俺達は今日はもう戻るけど、アンタはどうするんだ?」

「僕もそろそろ帰ろうと思ってましたので一緒に帰りましょうか。あっ僕はソラといいます。」


「ああ、こっちも名乗ってなかったな。俺はシリュウだ。大きな盾を持ってるヤツがガント。倒れてるヤツがミュウ、それを抱きかかえてるのが、モネだ。」

「助けてくれて感謝する。」

「助かったよーありがとね。」


ガントとモネがソラに御礼を言う。

「いえいえ、困った時はお互い様ですから。」


「俺達は普段20階層辺りで狩りをしてるんだが、そろそろ更に攻略を進めようと思って今日は初めて21階層に来たんだ。それでこのざまだったよ。」


「21階層から急に魔物が強くなりますもんね。僕も21階層に挑戦するのは2回目です。前回通用しなかったので、レベルを上げて、今日再チャレンジに来た所です。」

「そうだったのか・・・俺達も鍛えなおしだな。」


無事にミノタウロスを倒したソラは、シリュウのパーティーと一緒に本日の攻略を終えて、街に帰って行くのだった。

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