第19話 『Fのダンジョン』21階層からの挑戦
「剣は新調したし、アイテム類も揃えた、心配な所はソロな点とレベルが17と低い事だな。レベルを上げないとソロじゃきついからとりあえずレベル20になるまでは21階層の魔物を倒しながら様子を見るか。」
この世界のダンジョンは
『Aのダンジョン』から『Eのダンジョン』・・・1階層で初心者用ダンジョン
『Fのダンジョン』から『Oのダンジョン』・・・50階層で中級者用ダンジョン
『Pのダンジョン』から『Zのダンジョン』・・・100階層で高難度ダンジョン
と26個のダンジョンが世界各国に存在している。
ダンジョンの特徴はあらゆるモノがドロップするという事だ。
お金から、武器や防具、アイテム類から食料品までドロップする。これにより世界各国は経済的にとても潤っていた。
その為、冒険者の職業は人気ナンバーワンだ。だれもが冒険者になり、一攫千金を夢見る。
だが、だれしもがなれるような簡単な職業ではない。
なぜか・・・
冒険者は魔物と戦うので死亡率がとても高いのだ。
ダンジョンではそれぞれに攻略推奨レベルが設定されている。4人パーティでの攻略推奨レベルだ。
初心者ダンジョン・・・レベル1
中級者用ダンジョン・・・レベル40
高難度ダンジョン・・・レベル80
それぞれのレベルに到達していなくても攻略は可能だ。その点はチームの連携や運にもよるが・・・
ソラは新装備の鋼鉄の剣を装備して『Fのダンジョン』に向かった。
「よし!今日もやるぞ」
ソラは21階層に向かい魔物を倒して行く。
ミノタウロス・・・体長3mを超える巨体で顔が牛の魔物だ。牛と言っても2足歩行だ。大きな斧を振り回し、斧で周りに攻撃を仕掛ける。
「出た!!!ミノタウロス!!」
ソラはすぐさま身体強化のスキルを発動する。ソラの身体強化のスキルレベルは3なので、力と忍耐と敏捷が3割アップする。
ソラはミノタウロスに向けて火魔法を放つ。特大の火の玉だ。
「いけーファイヤーボール。」
ソラの放った火魔法はミノタウロスに直撃する。あれだけ的の大きい魔物なのだ。苦労せずとも命中する。
「げっ!?」
ソラの魔法は直撃したがミノタウロスは倒れる事もなく、斧を手放す事もなかった。痛かったのかその場で吠えてソラに向かってくる。
「さすがにあの斧の直撃を受けたら僕は真っ二つになって死んでしまうな。」
ソラは身体強化した能力を活かしてミノタウロスから距離を取る。
「さてどうやって倒すんだ。多分ダメージは入ってると思うけど・・・」
ソラは剣を使えるようにはなったが基本は魔法使いの後衛職業だ。剣術には慣れてきたけどまだまだ半人前だ。
「接近戦は危険だな。何かの拍子に斧の攻撃を受けたらさすがにこの鋼鉄の剣でも防ぎきれないよな。よし!速さは僕の方が上だし、距離を取って魔法を使うのが安全だな。魔力はまだ大丈夫だし。」
ソラは接近戦はあきらめて距離を取って魔法を使ってミノタウロスを倒す事にした。
「とりあえず動きが鈍るまでは火魔法を使って攻撃しよう。風魔法も使って、こっちは武器破壊を狙ってみよう。」
それからソラはひたすらミノタウロスから距離を取っては魔法を放ち、近づいてきたら離れて行く。を繰り返した。
「おっ!!」
ソラの放った風魔法によりミノタウロスの斧が折れた。
「よし!!今だ。」
ソラは鋼鉄の剣を握りしめて、ミノタウロスに向かって行く。そのままミノタウロスを切り付けて、その足で落ちた斧を遠くに投げ捨てた。
「どうだ!!!」
剣で切られたミノタウロスの胸から血が噴き出した。
「ブモオォォーーーー」
切られたミノタウロスは怒ったのか我を忘れて突進してきた。だが、今までのようにソラは上げた敏捷でミノタウロスの突進を躱す。
そのまま壁に衝突したミノタウロスに向かっていき、背中に剣を突き刺した。
剣を刺されたミノタウロスは魔石と牛乳の紙パックを残して消えて行った。
「よかった~。とりあえず倒せたけど・・・かなり時間がかかったな。21階層からいきなり難易度上がり過ぎじゃね??それにしても牛乳がドロップするとかまんまだな。強かったし装備品がドロップしてほしかったが・・・」
ソラは魔石と牛乳を回収して休憩する事にした。
「まだ1体しか倒してないけど疲れたな。ていうか回復しないと連戦とか無理だな。」
まだ魔力は残っていたが、もう一度ミノタウロスと出会うと今度は倒せるとは思えない程に魔力は消耗していた。魔力回復ポーションは持っていたが、回復しても今日はもうミノタウロスと戦う気力は残っていなかった。
「ちょっと休んだら今日は帰ろうか・・・。このままここにいると、一歩間違えたら大変な事になる。時間はないけど、死んでしまったら意味ないからな。」
ソラは休憩した後、『Fのダンジョン』から出た。一日準備して臨んだ21階層の攻略はミノタウロスを1体倒しただけで終わったのだった。
「ちょっと明日から考えないといけないな・・・1人の限界なのか。やれる事があるのか。どうするか考えないといつまでたっても『Fのダンジョン』を攻略できそうにないな・・・」
ソラはギルドで魔石を売却した後、ドロップした牛乳を片手に宿屋に帰って行った。
まだソラは明るく、時間としては昼を過ぎたぐらいだった。
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