第18話 『Fのダンジョン』を攻略する為に・・・

ソラはいつものように朝起きてから、孤児院に向かいウミに今日の予定を伝える。


「おはようウミ!今日はダンジョン攻略はお休みだよ。なぜ?って、昨日で『Fのダンジョン』の20階層まで攻略したんだ。だから今日は21階層から出る魔物の情報収集と、そこでも対応できるように武器とかの装備品とアイテム品を購入しようと思ってね。」


相変わらずウミからの返事はない・・・


「だから今日は一日休息日なんだ。でも安心してよ。明日からは又『Fのダンジョン』に向かって攻略を進めるから。」


ウミからの返事はない・・・


そしてソラはまずはギルドに行って資料を確認する事にした。


「21階層からはやっぱり魔物が更に強くなるみたいだな~。ミノタウロスとかも出るのか・・・『Aのダンジョン』で出た時は死ぬかと思ったけど今なら倒せるのかな・・・」


資料によると21階層からはビッグベア、キメラ、ミノタウロス、メタルアント、キラータイガー、レッドマンティス、イエローオーガなど聞いた事のない魔物が出てくる。それぞれ討伐推奨レベルは20~25だ。


ソラのレベルは17で、危険はある。しかし、ソラのステータスはレベル25相当の冒険者と同じなので、うまく立ち回れば倒せない事もない魔物ばかりだ。


「討伐推奨レベル20~25か・・・これってパーティでの討伐推奨レベルだよな・・・僕のレベルは17・・・しばらく20階層でレベル上げた方がいいかな・・・。でも強い魔物の方がレベルが上がるのも早いだろうし・・・。」


ソラはその後も魔物の弱点、攻撃スキルや出現階層などを調べて頭に叩き込んでいく。


(安全に1体ずつ、弱点をついていけば大丈夫だよね。武器と防具を買って、アイテム類を揃えたら明日からはやっぱり21階層に向かってみよう。明日レベルが上がらなかったら、進むのはあきらめて20階層でレベル上げするか。)


強い魔物を倒した方がレベルの上がりは早いが、その強い魔物を倒す為に時間がかかりすぎて、魔物を倒す数が少なくなればレベルは上がらない。それならわざわざ強い魔物を倒さなくても倒せる魔物を数多く倒した方がレベルは上がるしドロップアイテムも手に入るのでお金にもなるとソラは考えていた。


そしてその考えはとても的を得ていた。


ギルドを出たソラはまずは使い物にならなくなった剣を新調する為、武器屋に向かう。

「すいませ~ん。この間購入した鉄の剣が折れそうなので、新しい剣を見せてほしいんですけど、何かおススメはありませんか?」


剣の事など全くわからないソラはおススメを訪ねる事にした。

「もう鉄の剣がダメになったのか!?どれだけ無茶してんだ!!!」


「すいません。無我夢中で毎日『Fのダンジョン』で魔物を倒してたらボロボロになっちゃって。」

「見せてみろ・・・・ってこりゃダメだ。お前こんなになるまで使ってたのか?一歩間違えたら折れて死んでたぞ!」


「やっぱりですか?」

「当たり前だ。毎日手入れはしたか?それでなくても剣がすこしでも欠けたら気をつけろ!武器に気を使えない者は早死にするぞ!」


「うっ・・・・。わかりました。すいませんでした。」

(この人の言う通りだな。早く攻略しなきゃって焦ってたのかもな。もしかして運の数値が最大じゃなかったら死んでたのかも・・・)


「それでおススメだったな。お前は今『Fのダンジョン』の何階層にいるんだ?」

「明日から21階層に向かおうと思ってます。」


「何!?もう21階層に行くのか!!なら鉄の剣じゃなおさらダメだ。あそこに出るメタルマンティスなんかは鉄の剣じゃ全くダメージを与えられねぇぞ。」

「!?本当ですか?」

「ああ。こりゃ今日来てくれて正解だな。」


(たしかにメタルマンティスは固い皮膚を持ち物理攻撃が効きづらいって資料に書いてあったけど・・・鉄の剣がそもそも効かないとは・・・)


「ちょっと待ってろ。21階層から先に行くならけっこう上等な剣じゃないと危ないからな。」


武器屋の店主は裏に入っていった。しばらくすると剣を2本持ってきた。


「こっちは鋼鉄の剣だ。『Fのダンジョン』ならこの剣なら50階層までこれで攻略できる。でもう一つのこっちの剣は黒魔剣だ。」

「魔剣?」


「ああ。魔剣って言ってな魔力を注ぐ事で剣の威力が増す剣の事だ。この剣は魔力を注ぐと剣自体が固くなる。切れ味と耐久性が増すんだ。それに魔力を剣から飛ばす事ができる。」


(僕は魔力がけっこうあるから黒魔剣の方が合ってるかも。)


「へぇ~。じゃあ黒魔剣の方を買いたいです。」


「ん。だが魔剣は高いぞ。まあ鋼鉄の剣もけっこうな値段はするが、この黒魔剣はその5倍はするぞ。」

「!?5倍!?」


「ああ。ちなみに鋼鉄の剣が1万リルで黒魔剣が5万リルだ。」

「5万!?」


この世界の通貨はリルという単位だ。

宿屋が1泊100リル。食事がだいたい20リル~50リルだ。

ソラは毎日大量のドロップアイテムと魔石を売却していたが1日稼ぐお金は3000リル程だった。


駆け出しの冒険者の一日の収入は300リル程なので、ソラ自身はかなり稼いでいる方ではあったが、黒魔剣には全く届かなかった。


「すいません。お金が足りないので、鋼鉄の剣にします。」

「そうか・・・まあこれでも『Fのダンジョン』は攻略できるんだ。といってもメンテナンスはかかすなよ。」


「はい。」

ソラは1万リラを払い鋼鉄の剣を購入した。その後、残ったお金でグリーンウルフの皮鎧を購入して明日からのダンジョン攻略に備えたのだった。


ちなみに道具屋ものぞいたが、ポーション類は魔物からのドロップアイテムを持っているので何も購入しなかった。

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