第12話 ソラとリクの別れ・・・
翌日もソラとリクは『Fのダンジョン』に向かった。10階層で登録をしてるから10階層からのスタートだ。
いつものように出てくる魔物にはソラが火魔法を使う。魔力が少なくなってくるとリクが前にでて魔物を倒して行った。
ある程度の魔物を倒し、ソラの魔力の回復の為に休憩していると、リクはソラに問いかけた。
「なあソラ?」
「どしたの?」
「このままで本当にウミを助けれるのかな?」
「急にどうしたの?」
「いや~ちょっと最近色々考える事があってな・・・」
「ダンジョンだって順調に攻略してるしレベルも順調に上がってる。問題ないように思うけど・・・」
「でもナンデモナオールは一向にドロップしないよな・・・」
「それはそうだけど・・・」
「『Fのダンジョン』じゃナンデモナオールはドロップしないと俺は思うんだ。」
「そうだね。僕もそう思うよ。やっぱり高難度ダンジョンでないとドロップしないんじゃないかな?」
「だよな。でも、それなら一日も早く高難度ダンジョンに行くのが必要だと俺は思うんだよ。」
「わかってるよ。だから『Fのダンジョン』を早くクリアする為に毎日ここに通ってるんじゃないか。」
「それがそもそもまちがってるんだ。『Fのダンジョン』をクリアしなくても高難度ダンジョンにはいけるだろ?」
「それは・・・・たしかにいけるかもしれないけど。いきなり高難度ダンジョンに挑戦したら魔物にやられちゃうよ。高難度ダンジョンに挑む為にも他のダンジョンで力を付けてから挑むのがセオリーでしょ。」
「普通ならな。でも俺達ならセオリー通りにいかなくても高難度ダンジョンに挑戦できると思う。」
「そりゃリクならできる気がするけど・・・」
「だろ?なら一緒に高難度ダンジョンに行こうぜ。どうせなら高難度ダンジョンが3つある帝国に行くのはどうだ?」
「どうしたのリク?なんかあった?そんなに焦って・・・。今は毎日充実してるし順調に進んでるじゃん。焦る必要はないと思うけど・・・」
「ソラは順調に進んでるように感じるかもしれないけど、俺からしたら魔物は弱くてレベルは上がらない。ナンデモナオールはドロップしない。毎日が不満なんだよ!!!」
リクは自分の想いをソラにぶつけた。
「それは・・・」
「だから俺は1人でも高難度ダンジョンに挑戦するつもりだ。ソラとは一緒にやって行きたいと思ってるからソラが俺に付いてきてくれるならうれしいけど、こういうのは別々に動くのもありだと思う。なんせ2人が別々のダンジョンを探索すれば効果は2倍だ。その方がナンデモナオールがドロップする確率も上がるだろ?」
「それはそうだけど・・・」
その後はお互い無言になったので、早々にダンジョン攻略を止めてギルドに戻った。
孤児院でウミに報告した後はいつものように宿屋に向かった。
いつもと違ったのは宿屋で別れる時に
「ソラ!俺は明日帝国に向かおうと思ってる。ついてきてくれるなら明日でいい。返事をくれ」
リクはそう言って部屋に入っていった。
ソラはリクと別れて部屋に入ってベットで横になると、リクの事について考えていた。
(高難度ダンジョンか・・・正直リクの話はおかしくもなんともないよな。高難度ダンジョンでナンデモナオールがドロップするなら1日も早くそこに行きたいと思うのが普通だ。僕が高難度ダンジョンに行けないのは実力がないからで、実力があったらすぐにでも高難度ダンジョンに行くだろうし・・・)
ソラは自分の事ばかり考えていて、リクの事を考えてなかった事を後悔した。
(それに僕はリクにかなり助けられたけどリクにとっては足手まといだったんじゃないかな・・・レベルも上がらないって言ってたし・・・きっと加護の力でレベルも結構高いんだろうな。それこそ高難度ダンジョンに挑めるぐらいには・・・)
「はー。明日リクには謝ろう・・・。でも付いて行くかついて行かないか・・・付いて行ってもきっと足手まといだよな~。それならリクの言うようにお互いでナンデモナオールを入手できるようにすのが効率的か・・・」
ソラは今までリクに頼りっきりだった事に気付いて反省した。そしてこれからはリクに頼るのではなく、自分の力でがんばろうと誓うのだった。
翌朝宿屋でリクを見つけたソラは
「リク!ゴメン!僕って自分の事ばかり考えててリクの事全然考えてなかったよ。」
「えっ・・・いや俺の方も言い過ぎたかな・・・」
「それでソラ。一緒に帝国に来てくれるのか?」
「いやリク。今の僕じゃリクの役に立てない。足手まといも良いとこだよ。正直リク1人で攻略した方が攻略スピードは速いだろ?」
「それは・・・」
「言わなくてもわかってるよ。僕だって考えない様にしてたけど、よくよく考えたらリクの意見が正しいって思ったもん。だから僕は予定通り『Fのダンジョン』を攻略して高難度ダンジョンに挑戦する。リクは一足先に高難度ダンジョンを攻略してくれ。」
「ソラ・・・」
「リクがナンデモナオールを見つけてくれたらウミも治るしね。僕も一日も早く高難度ダンジョンに挑戦してウミを助ける為に行動するよ。お互いウミを治す為に頑張ろうよ。」
「ソラ・・・・。わかった。まかせろ!!」
ウミの呪いを解く為に・・・
ナンデモナオールを入手する為に・・・
高難度ダンジョンを攻略する為に・・・
ソラとリクの2人は拳を合わせて別れて行ったのだった。
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