第10話 『Fのダンジョン』に挑戦しよう。

ソラがギルドでダンジョンの事やスキル、アイテムの事を調べていた日、リクは1人草原で自身の能力について考えていた。


「昨日は色々な事がありすぎてあまり考える事ができなかったけど、改めて考えて見ると俺の加護ってやばいな・・・」


リクは剣に風を纏わせて剣を振るった。すると剣から風の刃が飛んで行き、木を真っ二つにした。


「これが風の魔法剣か・・・。昨日の魔物もそれほど力を入れなくてもサクッと倒せてしまったしどうするかな・・・まあウミを助ける為の力だ。早いとこナンデモナオールを入手してウミを助けよう。」


『ウミちゃんが治ったら最強の加護はなくなるよ・・・』


リクの頭にフリーダの言葉が蘇る。

「そうだ。この力はウミを助ける為にもらったんだ。加護がなくなってもウミが助かればそれでいいんだ。」


リクは自分の力をうまく使えるようにしばらく草原で身体を動かして自分の力を把握していった。


◆◆◆◆◆◆


ソラとリクは2人で『Fのダンジョン』に来ていた。

「ここが『Fのダンジョン』だね。地下50階まであるみたいだよ。」

「そうか。ならここの魔物を倒しまくればナンデモナオールがドロップするかもしれないんだな?」

「ん~。それはわからないかな・・・調べた所、レアなアイテムは『Pのダンジョン』以降の高難度ダンジョンでドロップするらしいから・・・」

「そうなのか?なら早いとこ『Fのダンジョン』をクリアして高難度ダンジョンに行こうぜ」

「そうできればいいけど、『Fのダンジョン』も攻略するのに1年から5年かかるみたいだよ。」

「まあ俺にまかせておけよ。」


2人は『Fのダンジョン』に足を踏み入れた。

1階層は初心者ダンジョンと同じように出てくる魔物はスライムかウサギか芋虫だった。

魔物が出ても、ソラが魔法を使わずとも、リクが剣を一振りすれば魔物は魔石を残して消えて行った。


2階層に降りた時に、ソラがリクに話かける。

「ねぇリク。僕も魔法で魔物を倒したいんだけどいいかな?」

「ああ悪い悪い。全然手ごたえがなくてな。早いとこ下に降りようと思って倒してしまってたぜ。そうだよな。何かしらしないと経験値も入らないもんな。」


そうなのだ。魔物を倒した経験値は魔物との戦闘での貢献度によって分配される。1階層は弱い魔物しかいなかったが、ソラは何もしていなかったので経験値は一切入っていなかった。


「うん。リクにばっかりまかせっきりじゃダメだからね。まだレベル2だけど魔物を倒せば早くレベルも上がると思うし」

「わかった。じゃあソラが魔法を打って、危なかったら俺が魔物を倒す。でどうだ?」

「うん。ありがとう。」


そこからはソラが魔法を使って敵を倒して行った。今のソラの魔力は50で火魔法のレベルは1だ。最大で魔力を5消費した魔法を使う事ができるが、魔力5を消費する魔法を使うと10発しか魔法を打つことができない。


ソラは消費魔力1を意識して火魔法を使って行く。

ラビット、ゴブリン、コウモリなんかは火魔法で1撃で倒す事ができたが、ウルフやコボルトなんかは1発で倒せない。そんな時はリクがフォローして魔物を倒して行った。


「リク。そろそろ休憩しない?もう魔力がやばいんだよね。」

「そうか・・・ならちょっと休憩するか。」


ソラは魔法の連続使用で魔力が残り一桁になっていた。疲れもあって休憩を提案した。リクは逆に全く疲れていなかった。レベルが上がった事で体力も大幅に上昇していたからだ。リクは先に進みたかったが、ソラが疲れているのが目に見えていたので言葉に出さずソラの提案を受け入れた。


「休憩が終わったたら今日はもう戻ろうよ。」

「え!?もう戻るのか?」

「僕の魔力なら今から進んでもすぐに無くなっちゃうよ。」

「ドロップしたポーション飲めば魔力回復したりしないのか?」

「どのポーションが魔力ポーションかわからないよ。」


道中でソラが倒した魔物からはドロップアイテムが多く出ていた。

ポーションと思われる小瓶から丸薬みたいなモノ、剣や盾などの装備品や食料品のパンなど、だが、ソラは『鑑定』スキルについては秘密にしており、『アイテムボックス』のスキルの事だけリクに伝えていたので、ポーションもなんのポーションか調べていなかった。


ただ、アイテムボックスの中で一つにまとまっていなかったので、種類の違うポーションというのはわかっていた。見た目の色が違ったので同じモノではないとわかってはいたが・・・


ソラの魔力がなくなりそうだったので、休憩した後はダンジョンを進まずに元の道を戻って行った。


「ダンジョンって行くのはいいけど帰るのはしんどいな。50階層もあったら帰るの大変じゃないのか?」

「その辺は10階層事にセーブポイント?があるらしいよ。なんでも10階層にいくと転移水晶があって、そこを登録すると、一瞬で入口に戻れるし次回からそこに一瞬でいけるんだって。」

「ほお。そりゃ便利だな。」

「しばらくは今日みたいな感じで魔力を使ってレベルを上げながら10階層を目指すって感じかな。」

「・・・・そうだな。」


2人はダンジョン攻略を終えて、ギルドに行き、ドロップしたアイテムを調べてもらった。思っていた通り、ナンデモナオールのナの字も出てこなかったが、リクの言った通りポーションは魔力ポーションがドロップしていた。


「やったな。魔力ポーションがあれば、途中で回復できるからもっと奥まで探索できるな。ドロップじゃなくて道具屋で魔力ポーション買っていけばいんじゃないのか?」

「そうしたいけど、魔力ポーションって高いんだよ。さすがに何個もは手が出ないよ。」

「・・・そうか。」


ギルドを後にした2人は明日も『Fのダンジョン』に行くことを決めて宿屋に向かって行った。


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