第7話 加護を得た二人・・・『Aのダンジョン』攻略

ソラとリクがウミのいる部屋に戻ってきた。


「リク!」

「ソラ!」


2人はお互いに駆け寄った。

「リクは加護を得られたのか?」

「ああ。ソラも大丈夫だったか?」

「うん。女神様との約束で内容は教えられないけどね。」

「俺もだ。神様との約束で内容を教える事はできない。」

「まあお互い、特別な力を得たって事で良しとするか。」

「そうだな。」


「それではお二人とも。この度は私の弟が迷惑を掛けました。私とお兄様は引き続き弟を探す為、この辺で失礼させて頂きます。」

「リク君!期待しているよ。」


そう言って、遊戯真フリーダと運命の女神デスティは消えていった。


残された2人はウミを見て、

「「ウミ!絶対助けてやるからな。」」と決意を新たにしたのだった。


「で、リクこれからどうしようか?」

「とりあえずウミを連れて帰らないとな・・・」

「でも持てるの?かなり重そうだよ?」

「ああそれは俺にまかせておけ。」


リクは石になったウミを楽々と持ち上げた。

「すごい!?それって加護の力なの?」

「内緒だ!!それにソラも言われただろ?加護については誰にも言うな!ってお互い力については詮索はしないようにしようぜ。」

「そうだね。わかったよ。ゴメン。リク。」

「ああ大丈夫だ。それよりウミを連れて一度戻るか?」

「リク入口の場所わかるの?」

「いや全然わからん。」

「だよね~。むしろボス倒して攻略した方が早いかも。」

「でもボスってミノタウロスだろ?」

「そうだった・・・。」

「まあでもソラの言う通り、攻略した方が早いかもな。今の俺ならミノタウロスも倒せると思うし。」

「本当!?」

「ああ。だから『Aのダンジョン』を攻略しようか。』


2人は入り口に戻らずに最奥を目指す事にした。ここは初心者専用のチュートリアルダンジョンだ。道中の敵はソラの火魔法で十分倒す事ができた。


ソラは道中リクの事を考えていた。

(リクは加護を得てからすごく強くなってる。ウミをここまで運ぶのはかなりの重労働のはずだ。そもそも僕じゃ持ち上げる事すらできなかった。しかも全然辛そうにしてない。僕もがんばらないと。)


リクも同じようにソラの事を考えていた。

(ソラはどんな加護を得たんだろう?詮索する事はできないけど気になるな・・・。今の所これといって変わった所はないな。でも俺みたいに普段と違う行動をしたら気づくとは思うけど・・・)


しばらく移動していると最奥までたどり着いた。

「リク!ついたよ。」

「ああ。気を付けて入ろうぜ。ミノタウロスだったらやばいからな。ウミはちょっとここに置いておくか。さすがにウミを抱えながらの戦闘はきついからな。」

「そうだね。」

「よし!じゃあ入ろうか。」


2人は最奥の間に足を踏み入れる。目の前のいるボスは・・・

ゴブリンだった。


「「ゴブリンじゃん」」


2人は拍子抜けした。なぜなら、いると思っていたミノタウロスが居ないばかりか、中にいたのはゴブリンが1体だけだったのだから。


「そういえば、冒険者ギルドで『Aのダンジョン』のボスはゴブリンって言ってたっけ?すっかり忘れてたよ。」

「そうだったな。まあでもミノタウロスじゃなくってよかったよ。とりあえずいまはウミを連れて帰るのが最優先だったからな。」

「たしかにそうだね。ゴブリンだったら僕に任せてよ。」


ソラは火魔法を連続で放った。火魔法を受けたゴブリンはチリとなって消えていった。

残ったのは魔石と液体の入った小瓶だった。


ソラは出て来た魔石と小瓶に近づいてそれを拾う。

「ソラ!?その小瓶ってもしかして?」


(えっナンデモナオール!?まじで・・・)

「リク。さすがに『Aのダンジョン』でいきなりナンデモナオールは出ないと思うよ。まあこれがなんなのかは全くわからないけど・・・」

「じゃあ早くギルドに行って調べてもらおうぜ。ギルドに行けば鑑定スキルを持ってる人がいるだろ?」

「そうだね。」


ソラとリクは『Aのダンジョン』を攻略した。ダンジョンを攻略した2人は孤児院に事情を話してウミを預かってもらう事にした。そしてその足で冒険者ギルドに向かった。


冒険者ギルドに到着した2人は早速ドロップしたアイテムを調べてもらう。

「すいません。このアイテムを調べてほしいんですが?『Aのダンジョン』のボスからドロップしたんです。」


小瓶を受け取ったギルドの職員は、すぐに返事した。

「ああこれはポーションだね。調べるまでもないよ。良く出回ってるヤツだからね。でも『Aのダンジョン』で出るなんて珍しいね。あそこは魔石以外はほとんどドロップしないから。」

「「ポーション!?」」


2人はドロップしたアイテムがポーションだと判明するとガックリ肩を落とした。

「まあそうだよな。そんな運よく都合よく、欲しいモノがドロップするわけないよな。」

(いくら運の数値が最大だと言ってもそこはさすがに無理か・・・)


「で、このポーションはどうするかね?そのまま持っておくか?それとも売却かい?」

「初めてのドロップ品なので記念に持っておきます。ポーションなら使う事も多いだろうし。」

「それよりもおっちゃん。ナンデモナオールってドロップ品どこでドロップするとかの情報ってないか?」

「ナンデモナオール?なんだ?それは?」


「「ん????」」


「どんな呪いも病気も治すっていう薬だよ。ダンジョンでドロップするって聞いたんだけど?」

「そんな名前の薬、見た事も聞いた事もないぞ。しかもどんな呪いも病気も治すってそんなすごいアイテムなんて本当に存在するのか?」


ウミを治す為に探しているナンデモナオールはギルドの職員によると存在するかもあやしい薬だった・・・


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