第2話 受けた攻撃は邪神の呪いだった!!
目の前で起きた一瞬の出来事に理解が追い付かなかった。だがウミが動かなくなり何かが起こった事だけはわかった。
ソラとリクは何度も何度もウミに話しかけ、肩をゆすり、頭をなでたり・・・と試してみたが反応はなかった。
「「ウミに何をしたんだ?」」
ソラとリクはウミをこんな状態にした元凶に向かい合った。
「何をしたって言われてもね~。僕は邪神だし。ただ呪いをかけただけだよ。その子を狙ったわけでもないしね。運悪くその子が君たち二人を突き飛ばして呪いを受けたってだけだよ。」
「「邪神!?」」
「そうだよ。僕は邪神。一応この世で神様って言われてる存在で、名前はヤミラだよ。なんでこんなとこにいるかっていうとただの気まぐれだね。まあ身を隠しながら色々動いてるって感じだけどね。」
「ウミを元に戻してくれ!」
ソラは邪神に問いかけた。もしかしたら自分も呪いを受けるかもしれないがそんな事よりもウミが元に戻る方が重要だとソラは思っていた。
「悪いけどそれはできないよ。僕達にもルールがあってね。かけた呪いは解く事はできないんだ。でも君たちにまで呪いをかけたりはしないよ。だって全員に呪いがかかったら絶望する人がいないでしょ。僕は絶望している人を見るのが好きなんだ。」
さらっとおかしな事をしゃべってる邪神に対してリクが
「なんだよそれ!!!ウミは俺達の仲間なんだよ。邪神がどういった存在かはしらないけど神様なんだろ?。ウミを元にもどしてくれよぉーー!!」
闘えば勝てない事はソラもリクも理解していた。目の前の存在は神様であり、邪神であるというのがよくわかる。なぜなら黒い翼からは黒く光るオーラが見えている。見た目少年のような感じに見えて気軽に話せているように見えるが、圧倒的な力を感じる。
「さっきも言ったけど掛けた呪いは僕には消す事ができないんだ。僕にできる事は呪いをかける事とそれによって絶望した人達を見る事だけだよ。」
淡々と当たり前のように言う邪神に怒りを覚えるが、ウミが元に戻らないという事はわかった。
「「そんな・・・」」
ソラとリクは愕然と膝を付き、そのままうなだれた。
「そうそう。その絶望が見たかったんだよ。じゃあ僕はこれで。君たちとは又会う気がするよ。じゃあね~」
(あっそういえばミノタウロスを連れてきてたんだった。回収しなくちゃね。)
邪神は軽い感じでその場から消え去った。
邪神が消え去った部屋に残ったのは、膝を付いているソラとリク、邪神の呪いを受けて石になったウミだけだ。
そのまま言葉を発する事なく、ただただ、時間だけが過ぎて行った。しばらくするとソラがリクに声をかけた。
「なぁー。どうする?」
「俺に聞くなよ。俺だってどうしたらいいかわかんねぇよ。」
「だよな~。」
2人の間に沈黙が流れる。
何を話していいかわからない。
ここにいてもウミは元にもどらない。
だが、何をしていいかわからずその場に留まっていた。
すると、2人の目の前に先ほど見た光景が映る。目の前の空間が渦巻いたのだ。
「リク!?あれって?」
「ああ何かくる!ソラ!気を付けろ」
2人は立ち上がって武器を手に取る。ソラは杖をリクは剣を。
渦巻く空間を見ながら警戒していると、その空間から出て来たのは先ほどの邪神ではなかった。
翼は黒ではなく、白だった。
髪の色は邪神は白かったが、現れた人?の紙の色は金色だった。
性別は少年ではなく、女性だった。
2人は先ほどのように呪いを掛けられるかもしれないと思い警戒した。武器を握る手に力が入る。
だが、
警戒は次第に薄れていった。なぜなら、目の前の女性からはオーラを感じるが邪悪な感じがしなかったからだ。
先ほどの邪神のオーラは黒っぽいまがまがしい感じだった。しかし今回は温かい白っぽい感じがしたからだ。
「なあリク?どうする?」
「俺に聞くなよ!!」
ソラは恐る恐る目の前の女性に話かける事にした。
「あの~。すいません。あなたは誰・・・ですか?先ほどの邪神の仲間・・・ですか?」
「邪神!?」
その女性は邪神の言葉に反応してソラの元に向かい肩を掴んだ。
「あなた今邪神って言った!?言ったよね?邪神ってヤミラの事だよね?アイツはここにいるの?どこ?どこにいるの?」
「え~っと・・・」
ソラがいきなり肩を掴まれて言い寄られているとリクが間に入ってきた。
「落ち着いてください。まずあなたは誰なんですか?」
「あっ!?ごめ~ん。邪神の名前があなたたちから出たから焦っちゃった。」
目の前の女性はソラとリクを見つめてやさしく話し出した。
「私は運命の女神デスティと言います。この『Aのダンジョン
』に弟、ヤミラがいる気配を感じたので探しに来たんです。あなた達はなぜ邪神の事を知っていたのですか?」
どうやら目の前の女性は女神様のようだ。そして邪神の姉らしい。
「「弟!?」」
ソラとリクは女神の部分よりも邪神の弟の部分に食いついた。そしてお互いを見てうなづく。
((邪神の弟という事はウミを治せるかもしれない!!))
2人の思いは一致した。そして邪神に出会った事を目の前の女神に話した。
「そうですか・・・弟がご迷惑をおかけしました。あそこにいるウミさんがヤミラの呪いを受けて石にされてしまったのですね。」
「はい。なのでデスティ様?でよろしいでしょうか?ウミは僕達の大切な仲間なんです。治して頂けないでしょうか?」
「事情はわかりました。ですが・・・
私にウミさんを治す事はできません。」
期待した女神様からの答えは、再度ソラ達を絶望へと叩き落したのだった。
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