第1話
俺は親友のことがとてもだいすきだった
幼い頃、真夏の暑い、暑い日
親と喧嘩して近くの山へ逃げ込んだことがあった
その時にたまたま出会ったのがその親友だった
そのときの親友は手になにかを持っており、顔や体が何かわからないもので、酷く汚れていた
何をしていたのかは知らないが、そんなことを考える余裕もないほど俺はそいつに目を奪われていた
小学生4年生にして一目惚れというやつを経験した
「ねぇ。夏が終わるまで僕と遊んでくれないかな?」
その日から出会った山で毎日のように2人で遊んでいた
俺は山より海派だったが、その親友は山がとても好きなやつだった
嫌われたくない思いで親友に合わせて俺も山が好きだなんて嘘をついたりもした
今思えば幼い子供が2人きりで山で遊ぶなんて相当危ない行為だった
山の中なんて、日が落ちればほとんど何も見えないし足元だって悪い
夏で日が落ちるのが遅いのもあったせいか毎日遅くまで虫取りをしたりして遊んだ
だがお互いの家も、家族関係も何も知らない
教え合うこともしなかった
ただ遊んでいるその時間が幸せだった
初めて出会った年の夏が終わる頃、いつもの様にさよならをしようとしたとき
「また来年の夏に会おうね」と親友は言い、そのまま背を向けて走って行った
俺は何も言えずその背中をただ見つめていた
その次の日にいつもの時間に山に行ったが、親友は来なかった
本当に来年の夏まで会えないのか、と子供ながらに悟ったのだ
次の年の夏、親友と初めて出会った日に山へ行った
そこには1年前と同じようになにかを持った親友が居た
居た
会えた
その嬉しさからそいつの名前を叫んだ
親友は酷く驚いた顔でこちらを向く
俺だと認識したのか顔が綻ぶ
「また来てくれたんだね。」
「会いたかったんだ、お前に。」
「そっか!嬉しいよ」
そういって笑う親友の顔に
俺はますます惚れ込んでいた
夏の日の思い出 @yume_04
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