架空の詩と使わない文章
こんど某サークルに寄稿する小説のために詩を作り、作者のプロフィールも捏造した。気持ちを盛り上げるために公開することにする。
仮題:song for the men on sea
Beneath night heaven blazes are luring
They are bright stars made by, oh, human race
You, fishermen, get high bergs of herring
Children`s request is filled with shining face
Fishermen go navy sea with heart bold
No wave defeats their trained arms and technic
Fish boats have withstood snow and wind of old
What awesome bequest from our Teutonic!
Wipe off your black face by burnt whale soot stained
Then show to fellows your skin brightly white
You`re free unlike nigger by farmer chained
You`re like a full moon in midst of dark height
When day broke darkness with fierce strongest blaze
It`s time to butcher herring with steal knife
When bows broke all waves and drop to shore baise
It`s time to land from boat and ride your wife
弱強五歩格(シェイクスピアの劇作品と同じ)で四行一連の四連で一作品を成す。西欧の詩学をまともに学んでいないので細かいところは専門的なタームで説明できないが、脚韻があり、abab cdcd efef ghghとそれぞれ違うものになっている(はず)。
見ての通り高校まで英語を学んだ日本人ならだいたい読めるような、ごく簡単な単語しか使っていない。本場の詩人が見たら鼻で笑うようなものだろうと思う。末尾に仮の訳文を載せたが、殊西欧の詩は押韻と強弱の拍によって散文と分かたれているのだから、詩として読もうとする向きは是非上の英文で読むことをすすめる。訳文だって輪をかけて拙劣でもあるから。
恐らくタイトルは作中でも登場させない。
この20世紀アメリカで作られたという設定の架空の詩の、架空の作者は、名をヘンリー・ジョージ・アスターHenry George Arcesterと言う。アフリカンアメリカンによる公民権運動が最も盛んになった時期に断固たる反対の論陣を張った人物であり、マサチューセッツ州に生まれたアスターはヴァイキングを祖先とする自らの出自を誇りとした。彼の嫌悪の主たる対象はアフリカンアメリカン、黒人であり、上の詩にも(露骨にniggerと書いているのを抜きにしても)その様子はよく見える。黒々とした夜の闇と漁師の漁火、輝くような白い肌、そして夜明けを齎す太陽とナイフの煌めき……といった光の形象が対蹠的に現れている。
また、民族主義者としてアスターはユダヤ人と農耕とを嫌悪した。アダムの罪によって人は農耕を始めたのであり、したがって農耕とは罪深く、低く劣ったものであるという。ここにも彼のヴァイキング好みが反映している。現代の海の男を賛美するアスターは、陸の男たちを嫌悪する彼のユダヤ人嫌悪がもっぱら近代の人種論的なものであるのか、それともヴァイキング好みなどの彼個人の心性と密接に結びついたものであるのか、については今後の研究を待たなければならないだろう。何しろ架空の人物でありほとんど何一つ決まっていないのだから。
(仮訳文)
夜の空の下、漁火の炎が獲物を呼ぶ
人の手によって造られた星々だ
おまえたち漁師は鰊を山のように捕り
子供たちの食欲は輝く顔で満たされる
男たちは勇ましく紺色の海を行く
いっかな波も鍛えた操舵の敵ではない
漁船は経る年月の風雪に耐えてきた
われらが父祖チュートンの遺産の素晴らしいこと!
鯨の煤で黒くなった顔を拭え
仲間たちに明るい白い肌を見せてやれ
お前は農場の黒んぼのように繋がれず自由だ
お前は闇の只中、高みに浮かぶ満月のようだ
太陽が激しく力強い炎で闇を砕けば
鋼の刃を取り出して鰊を捌こう
舳先が波を崩し去って岸に口付ければ
船から降りて女房に乗る時間だ
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