レベル25

「来たか。

 ローズシールドを展開しろ!!」


龍王号を見た薇雪が大声で指示を出す。


「ローズキャッスルからバリアシールドが展開しましたっ」


「うむ、こちらも前方にシールドを最大展開っ。

 全砲撃を一点に集中させて突撃する!!」


司令官も負けじと指示を出して全面対決の様相を呈する。


「堅牢な守りを誇るローズシールドを突破できるでしょうか?」


「残念ながら我々は囮に過ぎない。

 突破できればそれでよしだが、

 あくまで本命は燐くん操るヨロイダンの突入だということを

 忘れないでくれよ」


副官の弱気の問いに司令官が的確に答える。


ズガガガガガガ!!


龍王号から放たれる無数の砲撃がローズシールドにぶち当たり

爆砕の黒煙を上げる。

ローズシールドはびくともしないが、龍王号もひるむことなく

突撃を続けて遂にバリアーに衝突する。

さすがのローズシールドも陰りが見える。


「うろたえるな、この程度でローズシールドは破れぬっ。

 前面に出力を集めて、

 左右から戦闘機部隊を発進させて迎撃するんだっ。」


薇雪が配下の動揺を抑えるように指示を飛ばす。


「今だ!!

 ヨロイダン発進!!」


敵の動きの変化を見て取った司令官が大声を上げる。


「りょーかい!!」


「ヨロイダン、発進するっ」


燐と滝が指示を受けてヨロイダンを駆って外に飛び出す。

そして前方のローズシールドを迂回して迎撃に出てきた戦闘機の群れの中へと

飛び込んでゆく。

ヨロイダンは戦闘機をものともせずなぎ倒してゆく。

それを受けて再びローズシールドが再展開されてゆく。

さすがのヨロイダンも完全なローズシールドは破れない。


「燐、もう次はないぞっ。

 念の力を最大にして一気に突破するんだっ」


「ああっ、まかせとけっ」


燐は神霊エネルギーを取り込むと念の力によって生まれた大きな翼が

ヨロイダンの背中に実態化する。


「いっけえええええええ!!」


翼が勢い良く羽ばたくと巨大な鳥が舞うように猛スピードで飛行してゆく。

厚みを増してゆくローズシールドも身にまとったオーラで突き破り

遂に内部への突入に成功したのだった。


「薇雪様、敵が一機ローズシールドを突破しましたっ」


「見ればわかるっ。

 私が直々に撃ち落としてやるっ。」


再び薇雪のスペシャルローズがヨロイダンの前に立ち塞がる。


「でやがったな。SM女。

 今度こそ決着をつけてやんぜっ」


「それはこちらのセリフだっ。

 鞭打ちの刑で坊やたちを改心させるのが楽しみだよっ」


「相変わらず悪趣味なねーちゃんだぜっ」


ヨロイダンとスペシャルローズが夜空の空中でぶつかり合う。

右へ左へ激しく競り合い火花を散らす。


「どうしたんだい?こないだより動きがガタガタじゃないかっ。」


「燐、やはり頭痛の影響があるんじゃないか?」


「ちきしょー、ただでさえ集中できないってのにこの暗さじゃっ。」


「もらったーーー!!」


スペシャルローズの体当たりでヨロイダンの体勢が崩れたところへ

電撃鞭が襲いかかる。


「こんなところで倒れてたまるかってんだよ!!

 うおりゃあああああああ!!」


ヨロイダンから伸びるオーラウイングが羽ばたくと急転回を行い

スペシャルローズの背後を取る。


「そんな非科学的な力など私は認めないぞっ。」


現実離れした回避技に薇雪は慌てて反撃しようと体勢を変えるも

もう遅い。


「自然をかえりみず、金儲けの魔法にかかったおまえたちエリートには

 一生わからないだろうぜ!!」


ヨロイダンがスペシャルローズへと勢いよく体当たりすると、

そのまま押し込んでゆき

ローズキャッスルの頂に構える展望台へと叩きつけた。


ドゴオオオオオオオオオオオオオオ!!


大きな音を立てて壁が崩れてゆく。

ヨロイダンとスペシャルローズはもつれ合い床に倒れていた。


ドサッ。


薇雪はハッチを開けると身を投げ出すようにして外に出る。


「うう、ぬかったか。

 だがこのままあの小娘を差し出すという無様な真似だけはせんぞっ。」


薇雪はケガをした腕を抑えながら奥へと逃げてゆく。


「待ちやがれっ。」


「おそらく照を捕らえている地下牢に向かったのだろう。

 俺たちもあとを追うぞっ。」


「ああ、わかってる・・・う、うああああああああっ」


燐が頭を抱えて苦しみ始める。


「貴様ら、おとなしく投降しろっ」


そこへ銃を構えた警備兵たちが燐と滝の前に立ち塞がるのだった。


レベル26につづく

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