レベル20

 基地の中心部にある作戦指揮センターに案内された燐と滝は

指令官と面会させられることになった。


「きみたちが照と行動を共にした者たちか

 うむ、誠に前途有望そうな青年たちではないか」


「あ、あのその、俺たちひっしに戦ったんすけど

 力及ばず照を人質に取られてしまいまして

 すんませんでしたっ」


燐が頭を下げると滝も付き合いで頭を下げる。


「やめないか。

 照が連れ去られてしまったのはキミたちのせいではない。

 むしろこちらこそ謝らなければいけない立場なのだ。

 一般市民を危険な目に巻き込んでしまい悪かった。

 許してくれ。」


そういうと司令官である華音速かいんそく 豹竜ひょうりゅう

深々と頭を下げる。


「でも俺がもっとしっかりしてればこんなことには・・・」


「・・・燐くんと言ったね、あまりうぬぼられてもらっては困るな」


「な、なんだって!?」


「きみのような子ども一人でどうにかなるほど世の中は甘くないのだ」


燐に放つ豹竜の厳しい言葉に怒りがメラメラと湧いてくる。


「ざけんじゃねえ・・・ざけんじゃねえぜっ

 こいつをもっと使いこなせれば照はきっと助けられたんだ」


燐は魔弾ガンを取り出す。


「それは我々が照に与えたものだ

 返してもらおうか」


「いやだね

 照を救い出すにはこの銃が必要なんだ

 返してほしいなら力づくで奪ってみな」


「おい燐、そんなこと言って大丈夫なのか?」


「へーきへーき、こんなやつあの薇雪に比べりゃ」


「ほう、それではお言葉に甘えさせてもらおう」


そう言うと豹竜が手を伸ばして燐の腕をつかむと


「うわわわわ」


ドデーーーン!!


一瞬にして燐は床にねじ伏せられてしまった。


「ち、ちきしょー、放しやがれっ」


もがく燐から銃を取り上げた豹竜の目が鋭く光る。


「こ、これは!?

 これほどのエネルギー痕をこの青年が刻み込んだというのか・・・」


豹竜は燐を放すと、すっと立ち上がる。


「燐よ、本気で照を助けたいと思ってるのかね?」


「ったりめーよ」


パシンッっと自分の拳を叩いてみせる。

滝も静かに頷く。


「よかろう、それではわが部隊のソルジャーとして活躍してもらうために

 二人にはVR訓練を受けてもらうことにしよう」


ビーーー、ビーーー、ビーーー!!


そのとき警報音が鳴り響く。

巨大な作戦モニターに映し出されたのは

竜京駅周辺の街が爆撃を受けている光景だった。

爆撃機には薔薇の模様が描かれていた。


「あれは薇雪の直属部隊。

 手柄を得るためには手段を選ばないということか」


「俺たちを追ってきたんだっ、俺たちがここに来なければ」


「それは違う。

 遅かれ早かれこうなっていたのだ。

 作戦予定を大幅に繰り上げることにしよう。

 副官、全員に通達してくれ」


「はっ」


副官はマイク席に着くと全基地内にアナウンスを流す。


「計画していた大規模反抗作戦は一週間後の決行が決まった。

 作戦名はダイヤモンドアタック作戦である。」


豹竜が燐と滝の目を見る。


「聞いての通り、作戦は一週間後だ。

 訓練に十分な時間を取ることはできないが、それでもやってくれるかね?」


「はっ、もちろんでありますっ」


二人は敬礼をして戦いの決意を固めるのだった。


レベル21につづく

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