レベル18
燐たちは霊媒師の年増女こと佐藤さんに案内されるがままに
竜京駅を抜けて雑多な商店区域に入り込んでいた。
「ねえお姉さん、下の名前を教えてよ」
「ふふ、かわいいこという坊やね
私の名前は
お姉さんかどうかはわからないけど」
「いやあ、寧紗さん全然イケるっすよ、なあ滝」
「俺に同意を求められても困るが、
化粧というVRを通してみれば若く見えるのは間違いない」
「まったくおまえには浪漫というもんがわからんのか?」
「ふふ、おもしろいコンビね、息がぴったりよ」
寧紗に褒められて上機嫌になる燐だったが一つ気がかりがあった。
「あの寧紗さん、俺のエコポイントがやばいことになってるんだけど
大丈夫かな?」
エコビューワを通して燐を見ると確かにエコポイントがオーバーしていた。
「怯えなくていいのよ燐
ここではそんな些細なこと気にする人間はいないわ
さあ着いたわ。このお店に入りましょ」
その店は傾国開運堂という古びた看板の掲げられた骨董品屋らしかった。
扉を手で開けると中から出てくる客とはちあわせする。
明らかにポリスの格好をしている。
燐は思わず寧紗のうしろに隠れた。
「こんにちわ、ポリスさん
お勤めご苦労様ね」
「うむ」
ポリスは燐をちらっと見ただけで何も言わず立ち去った。
「ほっ、あぶねーあぶねー
どうやら気づかなかったようだな」
「いやエコオーバー市民は赤く表示されている
気づかないはずはないはずだが・・・」
「ふふっ、世の中には何にでも裏があるということよ」
納得いかない様子の滝に寧紗はそう答えて店の中に入るのだった。
「いらっしゃい」
無愛想な老婆の声が3人を迎える。
店内は人気もなく、
太古の武具やコンピューター、電子機器、家電製品から
アイドルの写真や雑誌などまで置いてあったが
どれも埃をかぶっていて保存状態はすこぶる悪かった。
「こんにちわ、婆や
奥を通らせてもらうわよ
さあ、二人ともこっちに来て」
「ひっひっ、新顔だね
坊やたち寧紗にたっぷりと教えてもらうんだよ、ひっひっ」
恐る恐る寧紗の後に続く燐と滝に婆やはいやらしく笑いかけるのだった。
レベル19につづく
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