レベル10

 燐は照の指示に従って銃を構えると、向かってくるヘリに狙いを定める。


「意識を集中してヘリを倒す光景をイメージするんだ」


「イメージイメージっつっても・・・」


「ヘリが攻撃の有効射程に入る

 このままみんな助からないでいいのか?」


「燐、頼れるのはもうおまえしかいないんだ」


「わーてるよっ、イメージイメージイメージ・・・」


燐が念じてると銃が光りはじめると弾丸が装填される。

燐のみんなを助けたいという想いが生み出したのだ。

目の前のヘリから薇雪が鞭を振り回しながら叫ぶ。


「さあ、これがショーのフィナーレだっ」


同時にロケット弾が発射される。

しかし燐は怯まない。

照と滝の命を背負っているのだ。

気が十分に高まるとトリガーを押し込む。


「いっけーーー!!」


魔法陣の発光と共に銃弾が発射される。

弾は特大のファイアーバードへと姿を変えてヘリに襲いかかる。


「うわああああああ」


火に包まれた薇雪が悲鳴を上げる。

そして爆発すると黒煙だけが残されるのだった。


「はあー、死ぬかと思った」


気の抜けた燐がその場にしゃがみ込む。


「やったな、燐

 まさかおまえにあんな力が隠されていたとはな」


「まーな、楽勝よ楽勝」


「その銃のおかげだということを忘れるな」


調子に乗る燐に照が釘を刺す。


「ちぇっ、こんなときぐらいもっとお褒めの言葉はないのかねえ

 しかしスゲー銃なのは間違いないけどよ

 ほら、返すぜ」


照は銃を受け取ると懐にしまう。


「これは魔弾ガン

 使う者の思念を実態化する力がある」


「あん?じゃあ俺の思念とやらがすごかったということになるんじゃ?」


「ま、まあそうとも言えるな

 助けられたのは事実だから礼は言っておく

 ありがとう・・・お、おに・・・」


「ん?何赤くなってんだ、おまえ

 あ、まさか

 今お兄ちゃんって呼ぼうとしてなかったか?」


「ちがう、言ってないっ

 空耳だ、気にするな」


「なにむきになってんだよ

 別に呼んだって良いんだぜ?なあ滝」


「別に俺はどっちでもいいが、断る理由もないのは事実だ」


「ほらほら、おにいちゃんって呼んでみろよ

 てーる」


「しつこいぞっ、り、燐」


「お?俺のことを名前で呼びやがった、しかも呼び捨て?」


「おまえなんかは呼び捨てで充分だ」


「まあ、何もないよりはマシか」


「案外、照の照れ隠しかもしれんぞ」


「もう、ろ、滝さんまでからかわないで」


「あれあれ?俺のことは呼び捨てで滝のことはさん付けな訳?」


「人徳というやつだな」


「あーそうですかいっと」


3人は笑い合うと、そこにまたまた何かの物体が迫ってくる。

しかし今度は地を這う訪問客だった。


レベル11につづく

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