レベル5
「おい燐、気づいてるか?」
「あたぼーよ、あそこの女の子だろ?かわいーよなあ」
「やれやれ、おまえというやつは・・・
よく見ろ、あの女の動きだ」
「あ?動きだ?
そう言われてみれば警官隊の背後に回り込もうとしてるような・・・
ま、まさか!?」
燐が滝の言わんとすることを察して驚きの声をあげる。
「ああ、俺もまさかとは思ったがそれしか考えられない
あの女、やる気だ」
女の子の悲鳴に酔いしれるオス犬と化した警官の群れに
人知れず殺意を押し込めた声が投げかけられる。
「躾のなってない犬にはお仕置きが必要のようだ」
瞬間、
銃声が響き渡った。
「ぐええええええっ」
女の子に覆いかぶさっていた警官が腕から血を流して倒れる。
何が起こったのか事態がのみこめない警官部隊たちに
客の合間から女が飛び出してくると次々に発砲を繰り返す。
「おまえたち反撃しろっ」
バタバタと倒れてゆく警官に我に返った女隊長が電磁鞭を床にたたきつけて
号令をかける。
銃を構える武装警官たちに、女の履く反重力ブーツが電磁を纏うと
身をかがめて左右に体を振り狙いを定めさせない。
人間離れしたスピードに残像を残しながら警官の懐に飛び込むと
顔に足踏みキックを叩き込んで踏み台にすして大きく宙返りをする。
すると目に飛び込む鞭を構える女隊長の姿。
「捉えた」
女はすかさず狙いを定めると銃弾を撃ち込む。
銃口に浮かび上がった電磁魔法陣から放たれた発光弾が
それぞれ独自の軌道を描き氷の塊と化す。
「おのれ奇術師め」
女隊長の
電磁ウィップを回転させて氷魔銃弾をはね返す。
女の顔が一瞬引きつると、
「さすが俺たちの隊長だぜ」
と警官たちが勢い立つ。
声援に後押しされて薇雪がふてぶてしい笑みを向けて女銃撃手に迫る。
「ボーズ警察に逆らえばどうなるか教育する必要がありそうだ
電撃ローズストーム」
薇雪が金属鞭を振り回すと放電現象が起こり
薔薇の花ビラのように舞いながら女銃撃手に襲いかかる。
かわしてもかわしても次々と飛んでくる電撃の舞に
ついに女の腕をかすめ衣装が焼け焦げてしまう。
「くっ」
わずかにかすめただけではあったが傷口が痺れてしまい
思うように腕が動かせない。
「さあ、これからお仕置きショーといこうか」
薇雪の唇がいやらしく歪み蛇のような舌がチロチロと舐めまわす。
「隊長ー!隊長ー!隊長ー!」
部下たちから一斉に隊長コールが起こる。
その様子をポケ―と眺めていた燐と滝に緊張が走る。
「どうするつもりだ?燐
あの子を見殺しにするつもりか?」
「人生最大の選択肢じゃねーか・・・」
燐は震えながらそう呟くのだった。
レベル6につづく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます