レベル3

 警官隊を指揮する隊長の女がポリスアーマーに内蔵された

スピーカーを通して大きく声を張り上げる


「この中に反エコテロリストの一派が紛れ込んでるとの通報があった

 これから全員のIDを確認する

 反抗する者があればただちに射殺するので覚えておくように」


女隊長がそう言ってサイバースペース内を見回すと

みんな押し黙って大人しくしているのがわかった

それを確認すると


「よし

 IDのチェックにかかれっ」


号令と共に武装警官たちがテロリストの捜索を始めるのだった


「どうする?燐」


「どうするって何がだよ」


「非常にまずいことになったな」


「だから何がまずいんだよ」


滝の煮えきらない物言いに燐がいくらか怒り気味に答える


「実は・・・」


「実は?」


「少しばかり心当たりがあるかもしれん」


「・・・・・・・・・・・・・・・

 なにぃ!!!!!?」


一呼吸おいてから燐がたまらず大声を上げる

それだけ滝の答えが意外すぎたのだった


「ん?なんだ?

 おいそこ、うるさいぞ」


「あ、なんでもないんで

 お気になさらず、あははははは・・・」


怪しむ武装警官の注意をそらすと燐は声をひそめて

再び滝との話を続ける


「・・・心当たりってどういう心当たりだってんだ

 俺に隠れてこそこそする奴だったとはな」


「まあ、そう怒るなよ

 俺たちボーズシティの市民にはみんなID情報が記録された

 赤い玉が額に埋め込まれてるだろ?」


「ああ、これは市民の義務だからな

 これを勝手に外した奴は重罪人として一生強制労働させられるらしいな

 ほんとかどーかは知らねーけどよ」


「それが先日のことだ

 この赤玉を外さずに中身のデータを書き換えることが出来るという

 噂を聞いたんだ」


「なにぃ!!マジか!?」


「バカ、声がでかい」


「わりぃわりぃ」


「反エコテロリストなら何か知ってるかもと思って

 それらしい団体を探ってみたところ・・・」


「ほうほう、それで?」


「けっきょく何もわからずじまいだったというわけさ」


「なんじゃそりゃ!?

 だったら何も気にするこたーねーじゃねえか

 ったくよー、心配しがいのない奴だぜ

 でも何でまた

 そんなヤバいことに興味持ったんだ?

 優等生のおまえらしくないぜ」


「俺たちはこの赤い玉に刻まれるエコポイントに支配されている

 このままじゃ一生バイクに乗れないまま終わっちまう

 燐、おまえはそれでいいのか?」


「滝、おまえがそこまで俺のことを考えてくれてるなんて・・・

 俺はむっちゃ嬉しいぜ!!」


「おい、おまえらいい加減にしろ

 さっきからこそこそ話して怪しい奴らだ

 先におまえらをチェックしてやる」


「・・・なんかヤバいかも?」


ズカズカと近寄ってくる武装警官に燐は思わずたじろぐのだった。


レベル4につづく

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