レベル2
この街はどこもかしこも薄暗い。
気温の上昇を防ぐため透過天板を曇らせているからだ。
ここは閉鎖されたボーズシティー。
気温の上昇を促す行為はすべてご法度だ。
焚き火はもちろん、発汗を伴うトレーニング、飲酒、車やバイクを使った
レース行為、
クーラー、パソコン、照明など家電製品による発熱含めて
ここでは褒められたことではない。
だからレースがしたい者たちはみんなVRで代用してるというわけだった。
「優勝おめでとう燐
ほら、勝利の祝杯だ受け取れ」
「わーとっとととと・・・
たくっ感覚が戻ってねーんだから加減しろよな
そう言いながらありがたく飲むけどよ
ごくごくごくぷはー、うめー、サンキューな
燐に缶ジュースを投げたのは
燐のゲーム仲間であり相談役であった。
「おい燐
エコ値が減ってるぜ」
「げっマジか
滝が無駄なジャンプをさせるからだろ」
滝が額にかけたエコビューアを見ながら冷静に指摘する。
ゴーグル型のディスプレイには
燐の姿と重なるようにエコ値と呼ばれる数値の増減がリアルタイムで
表示されていた。
「今月はまだ始まったばかりだぜ
こんなところで無駄遣いしてたまるかっつーの」
燐もゴーグルをかけると自分のエコ値を確認して文句を言う。
「まあいいじゃないか
どのみち俺たちのエコ値じゃ本物のバイクに乗れるアテは
ないんだからさ」
「まったくあったまくるよな
才能学歴社会貢献度でエコ値の上限が決められてるなんてよ
・・・あーあ
昔は誰でもバイクや車を乗り放題だったんだよなあ
本物の風を感じて走るって気持ちいだろうなあ」
ドカドカドカドカ・・・
ガチャガチャと金属音を響かせながら物々しい足音が聞こえてきたかと
思うと
ウイィィィィィィィン・・・
と
警報を鳴らしながらサイバースペース内の全ロックが解除されて
ルーム中のドアというドアが開いてゆく
「全員動くな!!!!!」
店内の客たちが顔を向けた先には
武装警官たちがしてズラリと取り囲むように立ち並んでいた
「マジかよ・・・」
燐は思わずそう呟くのだった
レベル3に続く
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