■04: 三界に家無し(仮)

――――

エピソード「三界に家無し」の断片・プロット

――――

8月前半

警護任務を請け負う渋谷チーム。

警護対象の老人は来日した殺し屋。男は、とある事件の証人となる条件に、日本を訪れることを要求した。

このとき彩乃は別件で留守。猫澄とパトリシアのどちらが不自然でないかの検討の末、パトリシアが孫役として行動を供にすることになる。

警護対象は京都へ行きたいと言う。

パトリシアは老殺し屋と京都を巡ることになる。猫澄は、観光客を装い二人を監視・警護することに。


男嫌いのパトリシアは、はじめは嫌がっていたが、老殺し屋と少しずつ打ち解けていく。


老人は、娘夫婦が京都に住んでおり、遊びに来ないかと度々誘われていたと語る。その約束は叶うことはなかったとも告げる。娘夫婦は殺されたと。

自分は殺し屋なのだから、その犯人を殺してしまいたかったが、自分が手を下すよりも先に彼らには報いが下った。

それ以来、虚しさに支配されてきた。――そのように老人は語る。


その話を聞き、パトリシアは感傷的になる。どこか自分に似ているように思えて、歩み寄ろうと思うパトリシア。



――

何も事件は起こらないまま、京都観光は進んでいく。

年相応の様子のパトリシア。ぎこちないながらも、孫役をこなす。老人も、旅を楽しんでいる。

しかし、二人を狙う怪しい人影があった。数日前に入国した暗殺者たちだった。



暗殺者たちは、二人がレストランにいるところを狙うことにした。

二人が座っているのはテラス席、狙撃にはもってこいの場所。

狙撃と至近距離での襲撃、両方で確実に殺すことにした。


至近距離担当の暗殺者は、パトリシアたちのすぐ近くに席をとり、狙撃を待つ。しかし、彼が合図を送っても、狙撃はない。逃走担当とも連絡がつかなくなっていた。

異常を知った暗殺者は、作戦を強行することにする。

パトリシアを人質に取って、優位性を確保しようとする。

しかし、彼がパトリシアを捕らえた瞬間、店員と客全員が暗殺者に拳銃を向けた。

暗殺者の存在は、猫澄や京都支部にも知らされていた。

一般人への被害を避けるために、場所を用意し、敵を誘い込んだ。作戦どおりだった。


もはや、助からないと悟った暗殺者は、苦し紛れに拳銃を老殺し屋に向け、任務を達成しようとする。しかし、人質のパトリシアから意識を逸らした隙に、パトリシアに殺される。


暗殺者を排除したパトリシア。

手と顔についた血を落としたい、と告げ、手洗いに行く。青褪めた顔で口を押さえ、洗面台ではなく便器に向かう。吐く。

そこへ猫澄が現れ、言葉をかける。

パトリシアは、食後だったから、男の人に触られて不快だったから、と強がる。「殺し」への覚悟は確かだったが、トラウマを完全に克服するのは難しく、さらには吐き癖がついてしまっていた。



――

襲撃は受けたものの、その後には何も起こらず日本での日程を終える。

別れ際、老殺し屋は寂しそうな目で、パトリシアへ礼と別れの言葉を告げる。


飛び立つ飛行機を見送るパトリシアと猫澄。

パトリシアは、飛行機が撃墜されるのではないかと不安だった。そんなことは起こらず、飛行機は無事にパトリシアの視界から消えていった。胸を撫で下ろす。

そこへ彩乃がやってくる。彩乃は、迎えに来た、と言う。


渋谷チームの三人は、車で空港を後にする。


(ストーリー中で名言されることはないが、この老いた殺し屋はパトリシアの祖父。仄めかしはある。また、パトリシアは覚えていないが、京都はパトリシアの生まれた場所)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る