第13話

「作者さん。お話が少し脱線したきました。琥珀の門のお話、私の元彼女の彼氏のお話どうなりました?」


 申し訳ありません。


 ジュラ紀のモスキートさんたちとあなたの想い人は、実は地獄の王子が、放った本物の鍵を探す地獄のエリートスパイ。

 異世界の数が多すぎる、今日この頃。

 たくさんのスパイを送り込むしか方法がなかった、悪魔の王子。


 彼の、コードネームは、

 

 『チクチク7』


 地獄と天界のその道の方々には、凄腕で有名な殺しのライセンスを持つスパイ。


 申し訳ございません。

    (あのお話のファンの作者より)


 しかし、琥珀の中で、記憶を無くし、あなたの血を浴びた時、性別やキャラまで、変わりました。


 チクチク7。

 地獄へ戻れば、たしかに、元の身体を取り戻すかも知れませんが、元の彼に戻るかも知れません。

 選ぶのは、あなたですが…。


 その時は、あなたの手強い敵になります。


 プロットもキャラ設定もしないデタラメな作者、ここで去る。


 なぜ、私の未来のダンナ様が敵?


「鈍いわね。今の話だと、あなたが、その女の子よ。あなたのお父さんはイケメン。お母さんは、美女で、スタイル抜群。似てないあなた。さっきの説明通りじゃない。あなたも理系女子なら気づかないと」


 先輩の言葉、相変わらず辛辣。

 私は、神の子?

 ただし、中身だけ。

 実感湧かず。


 私の彼氏、いや彼女、いや彼氏じゃなかった彼女の…。

 ややこしい、チクチク7さん。

 私の敵とは、どういう意味か分かりませんが、全ての記憶取り戻す事を望む私の揺れる心。

 この恋、子供の握る風船?

 握った手、離せず。


 琥珀ゲート。

 どうすれば呼び出せるの?

 試しに…

 手のひらを上に、ワンちゃんを呼ぶように、おいで、おいで。


「琥珀の門さん、出て来てください」


 特に苦労はしませんでした。

 琥珀の門と私は仲良し。

 すぐに出て来てくれました。


 私たちは、琥珀の門をくぐります。

 ジュラ紀ではなく、

 そこは、地獄。

 暗黒の支配する世界に、

 スマホの光が、3つ。


 トボトボ歩く私たち。

 私のダーリン(キャッ!)は、男型に戻っています。


「記憶は戻りましたか?」


「いいえ、この場所も覚えていませんが」


 ダーリン、戸惑う姿。

 今のところ敵にならず。

 そして、凛々しい。

(キャッ!)


 前方に光降る広場発見。

 地獄に明るい児童公園?

 静かなので、読書はいかが?

 どんな時でも勉強を忘れない、私たち理系女子。


 広場に立つ、私たちと。

 地獄の住人のシルエットが三つ。


「チクチク7、その胸のない個体が鍵の持ち主か?連れてきたな」


 未来の旦那様。

 私たちを騙していたの?


「いえ、そんなことは決してありません。私には何のことか分かりません」


 中央の最も小柄なシルエット、前に出る。

 おそらくこいつが地獄の王子。


「何を言う。初めにお前自身が、立てた作戦通りではないか。なあМ。じゃなかった、チクチク0」


 某有名スパイ映画の大ファン。

 学生時代は、小説化された本を読み漁り…

 申し訳ございません。

    (作者より)


 どうやら、地獄の王子に声をかけられた右の奴がチクチク部門のリーダーらしい。

 ゆっくり前へ出るそいつは、なんと下半身が馬、上半身が人の姿のケンタウルス。


「さすがチクチク7、よくやった。チクチク11鍵を取り出せ」


 左のシルエットが、前に出る。

 おそらくこいつが未来の旦那様(キャッ!)の同僚。


「知らない、私は何も覚えていない。思い出したくない」


 頭を抱えて座り込む未来の旦那様。

 中世の騎士のような 鎧姿のチクチク11、大きな剣を持ち私に迫る。

 逃げ惑う私たち。

 座り込んだまま動けない、未来の旦那様。

 心配する私の動き、一瞬止まる。

 高速の矢、私の胸を狙って飛んでくる。

 チクチク0の持つ弓が放つ地獄の矢。


 私の身体の前に立つ影。

 未来の旦那様になるはずだった身体に突き立つ、悪魔の矢。

 彼の未来は消えていく…。

 

 驚いた先輩、同僚、チクチク11に捕まり、チクチク11の剣に倒れる。


 私の頭の中、真っ白に。

 手の中には、髪が一束。


 現れる。


 

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