第10話

 琥珀の門。

 地球史の秘密を知ることが出来る秘密の門。

 知りたい、私たち。

 古生物学者の夢。

 実際に見る、あの頃の恐竜。

 ささやかな哺乳類のご先祖さま。

 巨大昆虫もぜひこの目で。


 何より、私の恋の相手の彼女を彼の姿に。

 私の初めての恋。

 必ずこの手に。


 彼の、いや彼女の、いやいや彼の、それとも彼女?

 

 ええーい、ややこしい。

    (作者泣く)


 今は彼女の話によると、

 琥珀の門。

 ジュラ紀のモスキートさんたち、偶然見つけてしまいました。

 ジュラ紀よりも血が吸いやすいパラダイスの時代を求めて皆さん門をくぐります。

 しかし、門の鍵を持たない皆さん、それは、時間旅行違反。

 全員捕まり琥珀の牢獄へ。

 タイムハイウェイパトロール。

 厳しく、

 残酷。


 奇跡的に、人の手に渡った、琥珀の牢獄。

 私の彼氏予定の彼女を封じた琥珀の牢獄。


 ややこしくすみません。

    (作者より)


 そして、私の手により救い出された、

 私の恋人予定の彼女。


 ややこしくてすみません。

    (作者より)


 琥珀の門の鍵。

 今、何処に?


 そんなことより、先輩、同僚は、カクテルDに、夢中。

 スーパーイケメンをはべらせるハーレムの夢必ず。

 その手に、

 入れるおつもり?

 懲りたはずでは?


 格言。

 喉元過ぎれば、スーパーイケメン。


 琥珀の門。

 それは、どこ?

 それは、この研究所。

 私の彼氏予定の彼女のお話。

 彼女がいたのが何よりの証拠。

 琥珀の牢獄は、琥珀の門の向こうに。

 不良検体が、この部屋まで入り込む。

 本来ならありえない事に、やっと気づいた私。

 探すべきものは、意外と近くに。


「ご主人様。琥珀の門を呼び出す物は鍵。鍵こそが琥珀の門」


 門と鍵は、仲良しこよし。

 パンとバターも仲良しこよし。

 パンがあるから、飛んで来い。バターがあるから飛んで来い。

 どこにいても、鍵が、望めば琥珀の門現れる。


「ちょっと待ってね」 


 ポケットからキュン♥

 

 間違いました。

 申し訳ありません。

    (作者より)


 ポケットから鍵。

 コロン、カラン。

 これは、アパートの鍵。

 こちらは、更衣室のロッカーの鍵。

 この小さいものは自転車。

 では、これは?

 昔から、持っていたわね。

 この鍵は、いったい?


 思い出した。


 これは、実家の鍵。

 私の鍵は、これだけ。


 先輩が、突然言い出しました。


「彼女は、どうやって琥珀の牢獄から脱出したの?牢獄は門の中なのでしょう?それに、今のところカクテルDをかけても他の虫たちの琥珀に、何の変化も無いわ」


 検体さんたち。

 彼女以外は、ただのモスキートさんだったのかしら?

 先輩のハーレムの夢。

 危うし。

 

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