第8話

「ご主人様の望まれる事」


 ヤッター!

 ラッキー!

 早速、私の望みをイケメンに、話す。


「私の望みは、素敵な恋。あなたの様なスーパーイケメンと世界一の恋愛を経験したいの」


「それは、無理です。私は吸血生物。血の渇きさえ癒せれば、永遠の命。しかし、引き換えに、恋や愛の様な生殖に関するいろいろは、私の中から、消えました。それに、ご主人様の血で手に入れたこの身体は、女の子です」


 イケメンさんの吸血鬼さん。

 私たち、理系女子と同じ、恋に見放された存在。

 お気の毒。

 あなたなら、きっと恋の達人。

 プレイボーイ。

 ドンファン。

 と、思ったのに、まさかの女子。

 私の始まったばかりの初恋もいきなり空中分解。


「分かったわ。それならまず服を着てくれるかしら」


 吸血鬼さんは、生まれたままの姿。

 彼女が女子なら、胸の大きさだけ、

 争えるかも。


 理系女子の頭の中。

 二日酔いの私、クラクラします。


「どんな服がよろしいのでしょうか?」


 吸血と言えばドラキュラさん。

 その定番。

 黒のスーツにマントスタイルをパソコンで呼び出し見せました。


 彼の周りの空気がモヤモヤと霧がかかったように白くなり、

 一瞬の後、風が吹き込みました。

 風が霧を吹き飛ばした後には、黒マントの彼女が、優しく私を見つめていました。

 あまりの美形にスーパーイケメンにしか見えず。

 分かっていても、乱れるホメオスタシス。


 その時、先輩、同僚も二日酔いからのお目覚め。

 スーパーイケメンに凍り付く。


 頭の中が霞む中、お二人に事情を説明。


 彼女は

 ドラキュラさんでは、ありませんでした。

 吸血生物。

 モスキートウーマン?


 彼女の黒マント姿。

 イケメンにしか見えず。 

 私たちの内分泌ピンチ。


 先輩のコスチュームデザイン。

 レースの白い襟元フリフリシャツに、赤いチェック、ミニのエプロンドレス。

 同じ柄の、赤いマント。

 可愛さ強調のこの姿。

 モスキートウーマン。

 姿を自由に変えられます。


 長い時を琥珀の中にいたからでしょうか?

 記憶が曖昧なモスキートウーマン。


 それでも、

 顔をスーパーイケメンから可愛い女の子へ。

 胸も膨らます。


 私の胸、勝負にならず。


 落ち込む…

 私の女子力。


「ご主人様の好みのお相手を選んで下さい。血を吸えば、その方の心を私の思い通りに操れます。ご主人様の恋人にでも、奴隷にでも、お好きに出来ます」


       (⁠✿⁠☉⁠。⁠☉⁠)ホント!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る