第4話

部屋に戻り、手帳を開いてみる。始まりは俺が生まれてくる前のようだ。最後のページまで文字が書かれていた。そんなに書くことがあるのかと思ったが、日によって分量が異なり、1ページに4日分書いてある日もあるようだ。

1ページ目 


6月9日

「今日は酷く天気が悪かった。探すのにものすごく時間がかかった。帰ったときには日付が変わっていた。まだ半分もいっていないのに時間がかかりすぎだ。だが不思議といやな感じはしない。むしろ明日また探すのが楽しみだ。何なんだろうか。」

6月10日

「今日は見つからなかった。どうしてだ。最近ほぼ毎日見つかっていたのに。イライラする。明日こそは見つけないと。急がないと手遅れになってしまう。今日はほとんど人と話していない。明日は、早めに帰りたい。」

(なんの話だ?探すって、、、?)

しかし、父が散歩で何をしていたのかやっと分かった。何かはわからないが何かを探していたようだ。さらに読み進めようとすると玄関の方から音がした。

「ただいまー」

母が帰ってきたようだ。思わず日記を隠してテレビをつける。

「おかえり」

「ちょっともー!ご飯食べたら自分の食器くらい洗っときなさいよ。あんた今日休みだったんでしょ。」

そう言いながら母は食器を洗い始める。

「あ、うん。ごめん。」

「あ、お母さん今から美容院行ってくるから、洗濯物お願いね。帰ってくるまでにちゃんと終わらせといてね。」

「、、、はーい」

「それじゃ、行ってきます」

「、、、はーい」

バタンと玄関が閉まり、足音が遠ざかっていく。

(仕方ない、やるか。)

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