第4話 サマスの考え

洞窟の中にも大勢の魔物はいるが、兵士たちの敵ではない。

普通の魔物は屈強な兵士たちには問題ない。


様々な国からソーゼスを討伐しに行っているが、ほとんどの者は倒され帰国できた兵士たちも心身ともに疲れ切っているのだ。

それ故に最近ではどの国も兵士をソーゼス討伐に兵士を出すことはしなくなった。


「みんな、がんばれ~」

サマスは後ろで応援しているだけなのになぜか兵士たちは元気になる。

「王子は危ないから下がっていてください」

これもサマスの魅力的なところの一つだろう。

みんなから愛されてみんなに怖がられるサマス。

人としては好きだがお気楽で能天気すぎるところは嫌いという人は多い。

その気楽さが長所でもあり短所でもあるからサルシ王は「サマスが変われば」という思いで無茶と分かってもソーゼスの討伐におもむかせたのだ。


サルシ王は常々「サマスが変われば国民も次期国王としてたみはサマスを認めるだろう」と言っている。

「サマスは誰からも好かれているから、魔物にもくっしない強さを持てばたみたちは安心できる」

お気楽なのは問題だが、優しい心は強さにつながる。

その強い心は力にも発揮されるだろう。


魔物を退治しつつ前進して、ついにソーゼスのもとへ辿り着いた。

ソーゼスを前にして、兵士たちはすくみ上った。

「あれがソーゼスか」

「大きさは俺たちとそんなに変わらないが、強いということは分かる」

「ああ今まで倒してきたどの魔物よりも強い」

兵士たちは口を揃えてソーゼスの怖さをかたっているがサマスだけは呑気のんきそのものだ。

「ソーゼスと話ができるかな?」

「・・・」

サマスの吞気のんきな言葉に少し沈黙した後、兵士たちが言った。

「王子、何を言ってるのですか!」

「相手は魔物、それも普通の魔物ではないソーゼスですよ」

「話が通じる相手ですか!」

魔物の脅威が分かってる兵士たちだからこそソーゼスに話が通じないということは分かってる。


「王子は下がって黙っていてください!」

とうとうサマスはあきれかえられものにされてしまった。

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