第3話 住処前
ソーゼスの
兵士たちは珍しく弱音を吐く。
「俺たち、ソーゼスに勝てるのか?」
ガクガク
兵士たちが震える中、サマスだけはいつも通り。
サマスの強みは何物にも平然を装う事だ。
サマスが弱みを見せた事はほとんどない。
幼い時は姉のように慕っているネリカに泣きついたりしていたが、今ではそんな事はない。ただ、大きくなった今でもネリカへの甘えは変わらないけど。
「どうしたの?みんな」
「これからみんなが望んでいる脅威を取り除けるんだよ」
「ソーゼスを倒せばみんな幸せになれるんだよ」
「ソーゼスを倒せればですよ」
普通の魔物には強い屈強な兵士たちもソーゼスを相手に無事で済むはずがない。
下手をすると生きて国へ戻れないかもしれないと思うと震えずにはいられないのだ。
「無事かどうかは分からないけど、みんなは生きて帰れるよ」
根拠はないが、サマスのポジティブな応対に苦笑いする兵士たち。
しかし、一つだけ気がかりなことを言ったが誰も気づいていない。
サマスはみんなと言ったが「僕も」とは言っていないのだ。
サマスは普段、気楽に過ごして城の者たちを困らせているが、この旅では、お気楽なサマスの姿は見られない。
一つ成長したサマスだが心の中では何を考えてるのかは誰にも分からない。
ソーゼスの
これからどんなことが起きるのか兵士たちには想像ができなかった。
洞窟の中でお気楽王子サマスの運命が変わろうとしている。
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