肆 序章
狐の独白
私はどうやって生まれたのかわからない。
最初から人を見下していた。何処かの怒った神から頼まれて殷を混乱させたような気がする。人間の体を奪って、殷の王様に溺愛されて愛してやった。国は滅ぼされて私の体は殺された。けど、私は満足して別の人間に乗り移る。
各亜細亜の国を回って何度か倒されて、日本にやって来た。倒される前の記憶はあやふやで、私の本体は毒を放つ石となって砕かれたらしい。
まだ狐であった私。その頃は地獄に送られたのが気にくわなかった。精根を叩き直す為に、何度か人間に転生させる刑罰を下した地獄の者達。補佐をした元人間の冥官。妖怪からかけ離れさせて、私を人間にしようとしているのだろう。
気にくわない。私はある純粋な魂に呪いをかけて、転生の儀を邪魔してやった。次に転生したときは、その魂に乗り移って復讐してやるつもりであった。
……もっと刑罰は重くなる。その魂は私の娘となり、私は全ての記憶を失った。気付けば、私は全うな人間になる。狐の私からすると屈辱だろう。
でも、今の私にはそれは幸いであり不幸でもあった。
優しい親の元に生まれて、愛する人と子をなせて、可愛いややこをこの腕に抱いて。人として普通の幸せを甘受したのだ。
あんな派手な暮らしをしなくても、近くに幸せな生活はある。田畑を耕して、苗を植えて、遊ぶ子供達を見守って、叱って可愛がって。子の成長を見守って。
復讐するとか、気にくわないとか。過去の私が恥ずかしくなる。あの時間は幸せなもので、過去の私を殺したくなった。
けど、その分不幸もあった。でも、夫や子が支えてくれたから、私は大丈夫だった。だから、私は夫とあの子を幸せにしたい。親として、あの子が好きなように生きてほしい。あの子を幸せになる場面を見たかった。
なのに、なのに、ナのに、ナノに、ナノニ。
どうして周りはあの子の幸せを奪っていくの。
なんで、あの子を殺したの。あの子が悪いことをしたの?
容姿が綺麗だから? たまたまそこにいたから?
あの子を大切にしてくれた紅葉。あの子なら大丈夫だと思っていたのに、何で守れなかったの? 何で。
……許せない。許せない。ゆるせない。ユるせない。ユルせない。ユルセない。ユルセナい。ユルセナイ。ユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイゆルせナイゆルせナイゆルせナイゆルせナイゆルせナイゆルせナイゆるせないゆるせないゆるせないゆるせないゆるせないゆるせないゆるせないゆるせないゆるせないゆるせないゆるせないゆるせないゆるせないゆるせないゆるせないゆるせない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せな↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺。
この思いで、私の前世を妖怪だと思い出させてくれた。私は自刃して、肉体のない魂の状態となる。地獄に行く前に、回収される前に、私が優しいあの子の代わりに復讐をする。
最初は娘の体を借りて、あの子の魂を傍において人間を殺そうとした。その度、半妖の組織が邪魔してくる。紅葉とは相討ちになって、私とあの子はまた人として転生をした。
人として生きていた私は、また記憶を失って愛しい人とあえて、あの子を生んだ。
あの子を生むまでは幸せだったのだけど、私は死んでしまった。蓮太さんを、あの子を、春花を残してしまった。
心配だった。夫とうまくやっていけるのか。不安だった。一人にしてしまうことが。でも、蓮太さんは娘を捨てずに頑張っていい子に育ててくれた。友達が協力してくれた。周囲も協力してくれた。その先に娘にも友人ができた。
寂しい思いをさせてごめんなさい。傍にいれなくてごめんなさい。私は貴女がとてもいい子になってくれて嬉しい。いい親友ができて嬉しい。志村家の志村恵美子ちゃん。彼女は可愛い子だから、呪いの影響を受けてしまうかもしれない。でも、大丈夫。今回は私が、私が、絶対に春花とその大切な人を守るから。
そう、守る。守る、はずだったのに。
なのに。
何で、なんで、ナんで、ナンで、ナンデ。
ナ ン デ
蓮太さんが車に跳ねられて頭をぶつけて死んだ。あの子が一人になる。
何で、あの子から大切なものを奪っていくの。
なんで、あの子がまた寂しい思いをしなくちゃいけないの。
ナんで、蓮太サんヲ殺シたノ。
ナンで、ワタシが傍二居ナイノ。
ナンデ、アノコヲヒトリニシテイクノ。
また思い出す。ワタシがナンだったのか。オモイダス。私が九尾の狐であることを。
守護霊から浮遊霊へ。浮遊霊から悪霊へ。悪霊から怨霊へ。怨霊から妖怪へ。
許せない。春花を一人にした人間を。蓮太さんを殺した人間を。
真っ先に私は蓮太さんを殺した人間を呪殺した。例え、墓を立ててくれたとしても、ユルセないものはユルセナイ。
次は、その一族の人間も苦しめて死に追いやった。次は、刑を軽くした人間達の寿命を縮めて死に至らしめた。次は近くにいたもの、次は春花をバカにするもの。悪く言うもの。彼女と仲良くなった友人を悪く言うものも苦しめる。
ああ、なんて、人間は愚かなのだ。
許せない。理不尽に人の命を奪う人間を。
ゆるせない。理不尽に誰かを悲しませる人間を。
ユるせない。アノ子を一人ニサセタ二んげんを。
ユルせない。傷付けルニンげんヲ。
ユルセナい。レンタサンヲ助けらレナカッタニンゲんを。
ユルセナイ。フタリヲフコウニサセテイクニンゲンヲ。
許せない。許せない。ゆるせない。ユるせない。ユルせない。ユルセない。ユルセナい。ユルセナイ。ユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイゆルせナイゆルせナイゆルせナイゆルせナイゆルせナイゆルせナイゆるせないゆるせないゆるせないゆるせないゆるせないゆるせないゆるせないゆるせないゆるせないゆるせないゆるせないゆるせないゆるせないゆるせないゆるせないゆるせない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せな↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺險ア縺帙↑縺繧?k縺帙↑縺繧?k縺帙↑縺繧?k縺帙↑縺繧?k縺帙↑縺繧?k縺帙↑縺繧?k縺帙↑縺繧?k縺帙↑縺繧?k縺帙↑縺繧?k縺帙↑縺繧?k縺帙↑縺繧?k縺帙↑縺繧?k縺帙↑縺繧?k縺帙↑縺繧?k縺帙↑縺繧?k縺帙↑縺。
あの子が生きていく先で、何故か紅葉と会う。相討ちとなって、死んだと思ったけれどまだ生きていたなんて。
アア、紅葉。オマエモユルサナイ。
ナンデアノコと出会った。
オマエハ、アノコヲマタフコウニシタイノカ。
ユルサナイ、紅葉。
オマエヲコロス。
春花、ああ、春花。はるか、はるかはるかはるかハルカ。ごめんね、こんなお母さんで本当にごめんね。九尾の狐でごめんね。お母さん失格でごめんね。
だから。
わたしトいっしょニニンゲンをコロしマショう。
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