時の商人

遂空

人の時

時間自体は平等なのか。人によって時間は平等ではなくなる。時間という物の下で暮らしている人々は自分を失い続けている。

 「君は自分の時間を売る覚悟ができたようだ。」

 「では、君の時間をいただく。」

 夜の町は暗い、街路灯の僅かな光が心の支えとなった。それでも凄まじい闇が人を飲み込むようだ。

 そんな闇の中で、ある身長がたかく、モノクル型のメガネを付けて顔が無表情の男が歩いている。

 「ここが新しい客さんが指定した場所だ。」

 街路灯の下に、年取った女性がそこに立っていた。寒い夜なのに薄くて古い服を着ている、手の震えと視線の転換は彼女の不安を表していた。

 「こんばんは、私は時の商人です。気軽く、私をクロクスと呼んでください。」

 クロクスは紳士のように礼をして、話しを進めた。

 「あなたが小林さんですね。」

 「はい。」と、小林さんは硬く話しをつづけた。

 「私はお金が必要です。私は私の時間を買い取ってください!」

 話を聞いたクロクスは少し目を細めて、指パッチンをした。瞬時に、世界は静かになった。専門のカメラが撮った写真のように、全てが美しく、静かだ。

 時が止まった。

 「では、金が必要の理由を教えてくれませんか。」と、クロクスは語った。

 小林さんは最初は迷っていたが、少し考えてから、少しずつ語り始めた。

 「私の息子はとある国際大学に通うっています.私の家族の中には大学生が一人も出た事がありませんので、何としても私は自分の子を大学卒業させたいでう。けど私は学費を払う余裕がありません。」と、彼女の顔が不安そうで、言葉が硬かった。

 この時、クロクスは無表情から微笑みになった。

 「あなたの残りの時間18年、私はあなたの年収の三倍であなたの時間を買い取ります、あなたは何年の時間を売りたいですか?」この時のクロクスの微笑みは危険な感じがする、人深淵まで落とすようだった。

 小林さんは少し迷っていたのか、自分の給料が低く、残り寿命もまだ18年ある、10年売っても自分は子どもを見守れる、彼女はこう考えていた、そして彼女は覚悟できた。

 「10年!私は十年をうります。」

 「パチパチ」と、クロクスは二回拍手して、何もない空中から二枚の紙が出てきた。そして一枚を小林さんに渡し、笑いながら語った。

 「では、契約成立です。」

 小林さんは一瞬だけ意識が無くなり、意識が戻って来た時、止まった時間が動き出し、クロクスも消えた。元々クロクスが立っている所に一つの箱があり、中には全部金だった。

 手の震えが止まらない小林さんはスマホを出して、自分の息子に電話をした。

 「息子よ、学費の方はもう大丈夫だ、母さんが何とかしたから、大学でよく勉強してね。」

 「はーい」と、向こうからも返事の声が聞こえた。

 電話が終わり、向こうの息子は急に喜び始めた。

 「ハハハハハ、金だ!いいものが食べられるぜ、相棒を呼んで遊ぼうか。」と、喜んでいる彼はスマホを持って、自分の住む寮にいった。もちろん、その母親は知らなかった。

 契約が終わり、クロクスも再び闇の中を歩き始めた。時々鳴っている車は夜中の唯一の音となっている。そして、車の音もなくなった。

 静かだ、静かすぎる、不安になるほど静かだ。誰かが世界を静かにしたようだ。時間の中で長く歩いていたクロクスはいつもある問題を考えている。

 「なぜ者は時間に縛られるのか。」

 この問題は分かりにくかった。

 気分を切り替えて、クロクスは都心部の方に移動し始めた。

 都心部はとても繁栄している.一部の人を忘れられるほどの繫栄だ。そして、クロクスの次の客がちょうどその「忘れられる」人間だ。

 クロクスはとある飲食店のある席に座り、人を待ち始めた。そして、時間が経ち、人々の軽蔑を受けながら、ボロボロな服を着て、汚い髪型の男が来た。

 「おおお、おまえがその自称時の商人のやつだな、おれの時間を買い取るってやつ?」と、ボロボロの人が語った。

 「話が早くて良かった、私は君の時間を買いたい。」

 「俺の時間はいい値段じゃないだろう。5年、俺は5年の時間を売る。」

 クロクスは周囲の時間を止めた。この情景をみたボロボロの男は子どものように周囲を見ていた。

 「きみは収入がないため、私は1年300万の値段で買います。合計1500万となります。」

 「1500万?!まじか。」この数字を聞いた男の目は光が出たようだ。

 クロクスは真空から契約の紙と金が入っている箱を取り出し、質問をした。

 「君は自分の余命が知りたくないか?」

 「それを知ったら悲しくなるだけだ、この金があれば俺はもう橋の下に住まなくていいんだ!ハハハハハ!」と、笑いながらボロボロの男は金を持って出ていった。

 クロクスは席に座ったまま目を細めて彼の背景を見ている。「では、契約成立だな。」と語ったクロクスは席から離れ、新しい客を探しに行った。飲食店から出る前、クロクスは隣の席で仲間と酒を飲み、金を無駄使いをしている酔っ払いの19歳の青年を見て、再びため息をついた。

 「可哀想な母親だ。」と呟いて、姿を消した。そして酔っ払いの青年は聞こえたように急に手の中の酒の瓶を捨てて「俺の母がくれた金だ、どう使ってもいいだろう。」と、飲食店の人が全て聞こえるほどの大きな声で叫んだ。

 失った時間は戻れない、それでも時間を僅かな金に変える人がいる。それはその人がしたかったのではない、仕方がないからだ。

 繫栄の都市部、人々は金のために時間を使っている.クロクスはその悩みがない、彼は無限の時間をもっている。時間の流れに夢中になっている彼は新聞紙を読み始めた。

 「最大の財閥であるNCTの社長は103歳の高齢で、今、死に直面!」

 このニュースをみたクロクスは笑いながら呟いた。 

 「次の客が確定だ。」と、消えた。元々座ってる椅子の上はバラバラの新聞紙しかない。

 豪華な病院で、ある年取った起きなさそうな人が病床に倒れていて、近くに泣いている娘と助手と数十人の護衛がいる。

 「私はもう直ぐに死ぬ、会社の事は頼んだぞ。」と、病床に倒れている人が苦しい顔で語っている。

 彼の名はマイスだ.若い時に世界を誇るトップレベルの商業帝国、地球で一番強い財閥を作り出した。そして今、彼は誰でも直面しなければならないものとすぐに会う。それは「死」だ。

 この時、窓の所に一人の男がいた。

 「誰だ?!」

 護衛はすぐに銃を出して、クロクスに向かっていった。

 「そんなに気を付ける必要はありません。私は時の商人です、こっちのおじいさんを助けにきました。」と語り終わった瞬間、彼はマイスの倒れている病床の前に立っていた。

 「打て!」護衛のBOSSが他の護衛に命令を出した。

 「ボンボンボンボン」と、銃撃の音がした。

 しかしクロクスは笑顔のままで、一歩も動かず、銃のたまは止まり、そして護衛たちも動けなかった。

 「改めて自己紹介をしましょう。」

 「私は時の商人でございます。先ほど言った通り、私は時間をマイスさんにうります。」

 「冗談するな、時間などを売れるわけがない!」と、助手が切れたような顔で一生懸命叫んだ。

 「マイス様、お嬢さま、こんなやつは信用出来ません!」

 そしてクロクスは少し目を細めて口を開いた。

 「初めての相手に『やつ』とよぶ事はよくありません。少し黙ってください。」話がおわり、助手が急にはね飛ばされたように、壁に強くぶつかった。

 「これで静かに相談ができます。」

 「時間を売るって、いくらだ?」と、病床に倒れているマイスは口を重く開いた。

 「話が早くて助かります。最初の値段は24億で一年となります、いかかでしょう。」

 「じゃ5年をくれ!いや、十年くれ!」自分はまだ生きれると知ったマイスは全力で布団を握り、獲物を見ているような目でクロクスを見ていた。

 娘もバガではない.話が始まる時、彼女はもう銀行のカードを持ってきていた。

 「これで300億です、余った金はあなたにあげます。」と、自分の震えを止めるように、彼女は強く息を吸って硬く返事した。

 「では、契約成立です。」と話し終わった時、マイスは急に眩しい光を出して、病床から起きた。体は老いたが、生命力が感じられる。

 10年前の自分の戻ったマイスはクロクスに話をかけようとしたが、もう彼の姿がない。止まった時間も動き出し、元に戻った。そしてマイスはずっと自分の腕を見ていた。

 「マイス様?!あなたは無事ですか?」と、娘が喜びながらマイスを抱っこした。

 「何かあった?」

 護衛の人は動けるようになり、何も起こっていないように静かだ。何が起きたか、わかる人はマイスたちだけだった。

 「この事を誰にでも言うな!覚えろ!」と、マイスは威厳のある顔で他の人に強く語った。

 「ちくしょう、まだ死んでないのかこいつは。」助手は頭の中で考えているか、さすかに口に出せない、血が出るほど彼は拳を握っていた。

 それから何日か経った。

 「号外号外!NCT社社長は死神から逃げられ、そばにいる助手はまさか裏切者だった!」

 「一週間前にある男が酒を飲み、急に暴れて店を壊した!理由は使える金が足りない?!」

 「一昨日、橋の下で放浪者の死体を発見しました。死因は心臓病突発、大量な現金を抱いていました。」

 公園の椅子に黒い帽子をかぶっている紳士が座っていた。彼は手中の新聞紙を読み、皮肉な笑いと手紙を残して、いなくなった。

 「時間は平等ではない、人々は不平等な時間の下で生活や金に支配される。時間は不平等の同時にある意味は平等だ。誰でも時間の底にたどり着き、そしてこの世から去ることになる。私はそれを加速しただけだ。」

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時の商人 遂空 @starpole

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