第2話

頼れる仲間と共に次の街アクシアへ向かう


ピヨピヨっ

小鳥がさえずる中歩みを進める

「お兄ちゃん、アクシアってどんな街なの?」

小首を傾げながら問うナギ

「うーんと、冒険者や商人が集まる賑やかな街だよ。」

「あなたは初めて行くものね、楽しみ?」

ルクスが問う

「うん!初めて行くとこ全部楽しみ!!」

満面の笑みで答えるナギ

彼女と共にナギの頭を撫でる

談笑しながら僕たちは目的地へと向かう。





ガヤガヤッ

賑やかな声がする

「「着いたぁ~!!」」

僕とナギの声が合わさる

「フフッ。」

笑い出すルクス

「あなた達息ぴったりね。」

「えへへ~っ。」

照れ笑いするナギ

「さあ、まずは情報収集といきましょうか?」

彼女が提案する

「そうだね、じゃあ別行動にする?」

僕がそう尋ねると笑顔で頷く彼女

「じゃあ噴水広場で落ち合おう。」

僕がそういうと二手に分かれ個々に歩みを進める

僕はまず冒険者達が集うギルドへ向かう



すぅーっ

バンッ!

深く息を吸い勢いよく扉を開く

ガヤガヤッ

「冒険者ギルドへようこそ。」

カウンターの女性が笑顔で言う

僕はカウンターへ歩み寄る

「すみません。」

「はい、何でしょう?」

「国が色を失う前後に出現した魔物について知りたいのですが…。」

「ああ~、それなら何件か情報届いてますよ。」

彼女は壁にある掲示板を指さす

「ありがとうございます。」

彼女にお礼を告げ、掲示板を見に行く


「うーん、何個かあるな。」

掲示板には情報がいっぱい貼られている

そのうちそれらしき情報が書かれている紙を破り取る。

そしてギルドを後にする。

待ち合わせの噴水広場で彼女たちを待つ。

広場には老若男女が集ってる

「二人の方はどうかな?」

広場の喧騒を眺めながら呟く。


「誰か~!そいつを捕まえてくれ!!」

「ん?」

声のする方を見ると僕の背より高い狼のような魔物とそれを追いかける男性がこちらへ向かってくる

「うおっ?!暴走してるのか?止めないと!!」

腰を上げ魔物の前へと立ちはだかる

迫ってくる魔物を両手を広げ待ち構える

「ガウ~ッ!」

「うぐっ!止まれ~!!」

両手と胸で受け止める

ズザァー!!

勢い余り押されるが必死に踏ん張る

ピタッ!

なんとか止まる

「ガウガウ❤」

安堵する僕に擦り寄ってくる。

「うわっ!くすぐったいよっ。」

毛がくすぐったくて思わず笑ってしまう

「おー少年、捕まえてくれてありがとう。」

男性が追いついてお礼を言う

「いえ、どういたしまして。」

「ガウガウ。」

男性には目もくれず未だに僕に擦り寄る

「なんだ?随分懐いてるな~。」

訝しげに僕たちを見る

「なあ、少年が良ければそいつを引き取ってくれないか?」

「え?!そんな簡単にいいんですか?」

ビックリするのには理由がある。

僕が受け止めたこの魔物は伝説の魔物“フェンリル”と特徴が酷似してるのだ。

「いやぁ~、こいつ気性が荒くて誰にも懐かないんだ…だから引き取ってくれるとありがたい。」

頭を掻きながら彼は言う。

どうやら彼は気づいてないようだ。

困っている人をほっとけない僕は意を決し答える

「わかりました。」

「ほんとか?!助かるよ、ありがとう。」

僕の回答に安堵する彼。

「元気でな。」

僕にくっついてる奴を撫でながら彼が言う。

「じゃあ、こいつをよろしくな。」

そう僕に託し彼は去っていった。


「これからよろしくな!」

肩にのっかてる頭を撫でながら言う

「ガウガウ~ッ❤」

一層嬉しそうな声を出す

「お待たせ~。」

「お兄ちゃん待った~?」

二人が戻ってくる

「あら、その子は?」

僕の隣を見ながらルクスが問う。

「わぁ~!狼さんだぁ~❤」

嬉しそうなナギ

「あ~、カクカクシカジカで…。」

「そんなことがあったのね、フェンリルに懐かれるなんてすごいわね。」

「やっぱりフェンリルだよな。」

さすがエルフ。

一目でフェンリルと気づくなんて…。

「でもいい子そうだから一緒に行くの賛成よ。」

ナギたちを見つめながら彼女が言う

「ねぇお兄ちゃん、狼さん名前あるの?」

ナギが聞いてくる

「名前はまだないんだ。ナギがつけてくれるかい?」

「いいの?!」

嬉しそうなナギ

「いいよ。」

ナギに答えルクスの方を振り向く

「ところで、何か情報あったか?」

「ええ、商人達に聞いたら港町の沖の方に出たらしいわ。」

「そうか、僕の方はこれだけ掴んだよ。」

さっき破り取った紙を渡す

「あら、三件も掴んだのね。」

紙に目を通す

「で、どこから行こうか?」

「そうね、ここから近いのはこの湖の件かしら。」

「じゃあそうしよう。」

「決まった!この子の名前。」

行き先が決まったところでナギが叫ぶ

「あら、決まったの?」

「何て名前にしたんだい?」

「うん!えっとね、〝ブルー〟!青い毛並みだから。」

「ブルーか、いい名前だね。」

「そうね。」

ルクスはナギの頭を優しく撫でる

嬉しそうに笑うナギ

「ブルーよろしくね。」

「ワウッ!」

ナギとブルーが笑い合う


「今日はもう遅いから宿にでも泊まりましょう?」

ルクスの言う通りもう夕方でこれから湖に向かうには少し危険だ。

「そうだね、でもブルーが一緒で大丈夫なとこあるかな?」

「うーん、探してみないとわからないからとりあえず行きましょ。」

「うん、ナギ行こう。」

ブルーと戯れてるナギに声をかけ宿探しを始めた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る