ブランとノワールと、アリスの罪。①
ピチピチと冬鳥のさえずる声で目を開ける。
(⋯⋯ん? なんだかいつもより暖かいような⋯⋯)
アリスの身体の両側には、モフモフとして暖かな何かの感触があった。不思議に思ったアリスはその正体を確かめるため、ゴロリと右に寝返りを打つ。
「⋯⋯⋯⋯?」
ベッドの右側には、すうすうと気持ちよさそうに寝息を立てるふさふさの耳と尻尾がついた真っ白な美少年が眠っている。
(これは、夢⋯⋯?)
次は左に寝返りを打つ。すると、そこには全く同じ
「んん⋯⋯。もう朝? おはよう、お姉ちゃん」
白い少年は寝ぼけ眼を擦りながらアリスにギュッと抱きついてきた。
「⋯⋯?」
「ふわぁ~⋯⋯。ボクまだ眠たい⋯⋯」
一方、むにゃむにゃと寝言を呟きながら反対側でアリスに擦り寄る黒い少年。
「⋯⋯??」
アリスは状況が飲み込めず、疑問符を飛ばすことしか出来ない。そして、気付いてしまった。
夢では決して味わえない暖かさとモフみに、しっとりと吸い付くような
そのことを理解した途端、ヒュッと喉から空気が漏れ、アリスは絶叫した。
「きゃあぁぁぁぁぁぁあ!!!!」
✳︎✳︎✳︎
屋敷中に響き渡る耳をつんざくようなアリスの絶叫に、驚いたリュカが駆けつける。
「アリス、開けるぞ!!」
珍しく焦ったようすのリュカが、アリスの了承も待たずに扉を開け放った。
「あ、あわわわ⋯⋯わ、私⋯⋯何もしてないわ⋯⋯これは違うの⋯⋯こんな趣味はないの⋯⋯」
犯行現場を見られてしまった今では、どんなに言い訳したとしても信じて貰えるはずがない。しかし、それでも否定する言葉が勝手に口をついて出て行く。
アリスの頭の中には
「アリス、大丈夫だ。落ち着け」
「信じてくれるの⋯⋯?」
「信じるも何も、被害者はお前だろう。⋯⋯毛並みを見るにこれは昨日の奴らだな。獣人だったのか」
リュカは10歳~12歳ほどの見た目の少年を見て言った。
「じゅ、獣人⋯⋯?」
アリスは聞き慣れないその言葉に首を傾げる。
「ああ。人間と動物の特徴を
リュカが淡々とそう言うと、クンッと両側からパジャマの
振り返ると、白と黒の少年が赤い瞳をうるうると潤ませてアリスのことをジッと見つめている。
「アリスお姉ちゃん⋯⋯オレたちを捨てちゃうの?」
「捨てないで⋯⋯。ずっと一緒にいたいの⋯⋯」
(うっ⋯⋯この子たち、やっぱり犯罪級にかわいいわ⋯⋯!)
アリスは思わず口元を押さえて悶えた。
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