サクサクジューシー!ペリュトンの唐揚げ!?③(調理&実食)
袋に醤油とにんにく、しょうがで下味をつけたペリュトンの肉を入れ、15分ほど置いておき、次に小麦粉をそこに入れて揉み込む。
(ちなみに、短時間でよりお肉に味を染み込ませるためには、フォークでグサグサ刺して穴を開けて置くと良いのよね。あとは、片栗粉の方がよりサクサクになるのだけれど⋯⋯ここには無いから諦めるしかなさそうね)
「じゃあ、リアム。次は油を温めましょうか」
大方の作業を終えたアリスは、リアムに声をかける。
「分かった」
「油の温度は180度⋯⋯油の表面がゆらゆら揺れてから数分待って、箸を入れて泡がブクブクと勢いよく出た頃がお肉を入れるのに最適な温度なんだけど⋯⋯伝わったかしら?」
「⋯⋯まあ、何となくは理解した」
少々険しい顔をしながらも頷いたリアムに油の番を任せて、アリスは洗い物をすることにした。
しばらくすると、「180度になったぞ」とリアムの声が聞こえてくる。
「ありがとう。じゃあペリュトンのお肉を揚げていきましょうか」
✳︎✳︎✳︎
深いフライパンにはたっぷりの油が入っており、そこではジュワジュワと衣を纏った肉が踊っている。アリスはきつね色になったところで、肉を取り出した。
「このくらいの色になるまで揚げてね。あとは、もう少し油の温度を上げて二度揚げすると、よりカラッとした仕上がりになるわ」
「それはより美味くなる、ということだな? リュカ様のお口に入るのだ、その二度揚げとやらをするぞ!」
しばらくすると、二度揚げというひと手間かけたペリュトンの唐揚げはいくつもの大皿に山盛りに積み上げられていく。そこに、くし切りにしたレモンを添えたら完成だ。
「リアム、手伝ってくれてありがとう! これならきっとリュカも喜んでくれるはずよ!」
「オレがやりたくてやったんだ、気にするな。それよりも、リュカ様のお口に合うと良いのだが」
「リアムが心を込めて作ったんだもの、絶対に大丈夫よ! 唐揚げは出来立てが一番美味しいの! 早く持っていってあげましょうっ!」
アリスは不安げな顔のリアムの背中を押して、リュカの待つ部屋へと急いだ。
✳︎✳︎✳︎
「お待たせしました!」
空き家のとある一室の扉を開けると、そこにはリュカとジョセフ、モハメドたち護衛騎士の姿があった。大皿の上で湯気をたてる唐揚げの姿を見るなり、全員の目がそこに釘付けになる。
「リュカ様! こちらをお召し上がりください!」
あらかじめリュカ用に取り分けておいた皿をリアムが緊張の面持ちで差し出す。
「これが唐揚げ⋯⋯見た目はフリットのようだな。いただこう」
「熱いから気をつけて食べてね」
リュカがフォークでペリュトンの唐揚げを刺すと、そこから透明な脂がジュワッと染み出す。
一口齧ると、サクッと小気味良い音がした。
リュカが無言で咀嚼するようすを、リアムは固唾を呑んで見守る。
「リュカ様⋯⋯お味はいかがでしょうか⋯⋯?」
リアムの緊張が伝染し、アリスの手のひらにはじんわりと汗が滲む。そして、咀嚼を終えコクリと飲み込んだリュカがナプキンで口元を拭ったあと、ゆっくりと口を開いた。
「ああ、今回も大変美味だ。サクサクした衣を纏ったペリュトンの肉はジューシーで歯応えがあり、噛むたびにジュワッと旨味をこれでもかと含んだ脂が口内に広がる。肉そのものにも味がしみていて、獣臭さも感じない。揚げ物は魚を揚げたものやジャガイモのフリットが主流だが、肉の揚げ物も食べ応えがあって好ましいな」
唐揚げを絶賛するリュカの言葉を聴いたリアムは不安げな表情から一転、パァッと明るい表情になる。アリスは隣で静かに喜びを噛み締めるリアムに声をかけた。
「よかったわね、リアム!」
「ああ!」
2人はパチンと手を合わせ、お互いの健闘を称え合ったのだった。
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