ドキドキ☆夜間銃猟!




 夜間銃猟とは、読んで字の如く、夜に銃を使った猟をすることである。これは選ばれし者しか行うことが許されない。

 通常は日の出から日の入りまでしか銃を使った猟は許可されておらず、もしもそれを破ると大変なこと(世にも恐ろしい免許剥奪や罰金等)になるのだ。それに、単純に暗闇での猟は危ない————!


 新米ハンターのアリスでは到底出来ない経験であり、不謹慎とは思いつつも夜の銃猟に密かに心を躍らせていた。



「それにしても、何故こんな夜遅くに出発するんだ? 夜は足場も悪く、ペリュトン以外の凶暴なモンスターとも遭遇し易い」

「それはね、リュカ。⋯⋯闇が濃いほど光も強くなるからよ! そして、それが私の思いついた必勝法なの!!」

「⋯⋯⋯⋯?」


 アリスの言葉に、リュカは不思議そうな顔をする。そんな彼を見たアリスは、得意げに言った。


「詳しいことは向かいながら話すわ。次こそは必ず、ペリュトンを討伐出来るはずよ!」





✳︎✳︎✳︎





 アリス、リュカ、リアムの3人と、リュカの部下の計4人で足元すら見えない真っ暗な森の中を、炎で照らして進んで行く。

 残る部下の2人は村に置いて、引き続きもしもの事態に備えて待機中である。


 共に行動することになったモハメドは、アリスを拘束しようとした男であったが他の2人よりも防御魔法が得意なため、援護要員としてリュカが名指しした。



「確か、この辺りだったな」


 リアムの案内の元、4人はペリュトンが現れた場所に到着する。



「再び現れると良いのだが⋯⋯」

「リュカ様、ご心配はいりません! もしもこの場にペリュトンが現れなければ、オレが引きずってでも連れてまいります!」


 リュカにそう宣言したリアムは、「リュカ様の為ならば、このオレに不可能は無い!」と言って高々と拳を掲げる。

 そんな彼を、アリスは白い目で見ていた。


「⋯⋯⋯⋯とりあえず待ちましょう。ペリュトンが現れたら、先ほどの打ち合わせ通りにお願いします!」





✳︎✳︎✳︎





 しばらくの間、息を潜めて待っていると、ペリュトンの縄張りを主張する鳴き声が聞こえてくる。



 ——フィーヨ⋯⋯フィーヨ⋯⋯⋯⋯。


(やっぱり来たわ!!)



「リュカ! フレイアさんっ!」

「ああ!」

「分かっている!!」


 リュカとリアムはそれぞれそう言って、風魔法と炎魔法を展開した。

 まずは、ペリュトンが現れてから深くなった霧をリュカの風魔法で薙ぎ払う。そして、アリスたちとペリュトンを囲むようにして燃え盛るリアムの炎が退路を断った。


 殊更大きい1頭のペリュトンを先頭に、現れた5頭のペリュトンは寄り添い合うようにして、少しでも炎の光が照らさない場所へと身を隠す。


 無数の炎に怯えるようすのペリュトンを見たアリスはしたり顔をする。


(やっぱり、私の予想は正しかったみたい⋯⋯!!)


 昼間は全くと言って良いほど歯が立たず、苦汁を飲まされたのだ。次こそはとアリスは意気込み、声を上げた。



「反撃開始よ!!」


 アリスは安全装置を外し、意気揚々とチェシャ丸を構えた。

 








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