ペリュトン対策会議
ペリュトンとの対峙後、意気消沈と帰還したアリス、リュカ、リアムの3人はシャルム村の空き家で話し合いをしていた。
「まさか攻撃が通らないとは⋯⋯」
リュカが深刻な顔をして、頬杖をつきながら呟く。
「物理攻撃が効かないとなると、悔しいですがオレたちに打つ手はないでしょう。討伐は無理でも、どうにかしてペリュトンをシャルム村に寄り付かないように出来れば良いのですが⋯⋯⋯⋯」
「村全体を何か防御壁のようなもので覆うことは出来ないんですか?」
アリスがそう提案すると、リアムは大きなため息を吐いた。
「オレがお前を助けたときのことを言っているのか? あれは術者が近くにいないと発動しないものだ。それに対象が人間1人ではなく、この村全体に防御魔法を常に発動し続けるなど、非現実的も甚だしい」
話し合えども一向に解決の糸口が見えないことに苛立ったようすのリアムは、キツイ口調でアリスに言った。
「あ⋯⋯そうね⋯⋯⋯⋯ごめんなさい」
「⋯⋯リアム。行き詰まっているからといってアリスに当たるのはやめないか。それに、シャルムの民たちは他でも無い、俺たちを頼ってくれたんだ。俺はそれに出来る限り応えたいと思ってる」
「はっ! 申し訳ありません、リュカ様!」
リュカに咎められたリアムはすぐさま深く頭を下げて謝罪した。アリスへの態度とは大違いである。
もう小一時間ほどこうしたやり取りが続くばかりで、ペリュトン対策会議はこう着状態に陥っていた。
(何か、方法はないかしら⋯⋯? この難局を抜け出せるアイデアがもう喉元まで出かかってる気がするんだけれど⋯⋯)
そう思ったアリスは、ペリュトンが現れた時のことを事細かに思い出してみることにした。
(ペリュトンが現れてすぐ、リュカとフレイアさんが攻撃したけど、すり抜けてしまったわ⋯⋯。その時は確か、魔力を纏っていない剣と槍での攻撃だった。二度目は、氷の魔力を纏った剣でリュカが攻撃したけれど、これも当たらなかった。次にフレイアさんが炎の魔力を纏った槍で攻撃して⋯⋯⋯⋯)
「⋯⋯!!」
何かを閃いたアリスは、ガタンと椅子から勢いよく立ち上がる。
「分かったわ!! ペリュトン攻略法が!」
「なんだと!?」
アリスの言葉に食いついたリアムは声を上げ、釣られて立ち上がった。
「アリス、それは本当なのか?」
驚きを隠せない表情のリュカに、アリスは自信たっぷりの笑みで答えた。
「ええ、きっと私の仮説は間違いないわ! 善は急げと言うし、早速行きましょう!」
こうして再び、3人はペリュトンの討伐に向かうことになったのだった。
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