第5話 裏切り者end
そう考えているうちにそいつは私に近づいてきてしまっていた。
(いやだ......。誰か助けて......。)
そう思いながら目を強く瞑った瞬間だった。
「おい。あんたなにやってんの?」
そんな声が聞こえたと同時に視界が真っ黒になったかと思うと意識が途切れてしまった。
次に目が覚めるとどこか分からない空間にいた。
辺りを見渡すと、そこには先ほど私を襲おうとした女が椅子に座っていた。
「気がついた? よかったぁ......心配しちゃったんだから。」
(ここはどこだろう......? それにさっき見た子もいるみたいだし......。)
私はゆっくりと体を起こしたのだが、その瞬間全身に電流が流れたような感覚に襲われた。
「あぐっ!?」
それと同時に再び意識を失ってしまった。
「......えいっ! これでどうだっ!」
誰かが何かをしている声が聞こえる。
何かが体に押し当てられているような感触がある。
(苦しい......このままじゃ......死んじゃうかも......嫌だ......助けて......お母さん............。)
そんなことを考えながら私の意識は完全に落ちてしまった。
☆☆☆
目を覚ますとそこは先ほどまでとは打って変わって真っ白な空間が広がっている場所だった。
『起きたか?』 後ろから声がしたので振り返るとさっきまで居なかったはずの女性が立っていた。
その女性は腰まである長い黒髪で、スタイルもよくモデルのようだと思った。
「えっとあなたは......?」
見ず知らずの女性なので失礼かもしれないが聞いてみることにした。すると彼女は少し笑いながら
「わたしだよ。」と答えた。
一瞬なにを言っているのか理解できなかったがすぐに理解した。
目の前の女性の顔に覚えがあるのだ。
それは紛れもなくさっきの女の子だったからだ。
「......どうしてこんなことするんですか?」
「別に大した理由なんてないわよ。ただの暇つぶしだから気にすんな。」
そう言って彼女はケラケラと笑った。
(なんだこの人......めちゃくちゃ怖いんだけど......)
なんだか無性に腹が立ってきた。
そもそもここは何処なのかも分からない。
だが聞いて答えてくれそうにもないので聞くのを止めておいた。
その後しばらく沈黙が続いてしまい気まずくなった私は彼女に対して言ってみた
「ねえ、ここはどこですか?」
「ん~。ここはあたしたちの精神の中みたいなもんかな?」
「あなたたちってことは他の人たちも来てるんですか?」
「まぁそういうことになるかな?」
なんか嫌な予感がするのであまり聞きたくない。
というかみんな来てくれるなら来るって言ってほしかった。
(それにしてもこんな訳分かんない場所に一人でいるのかと思ってたからよかったぁ)
心の中でほっとしていると彼女が突然こんなことを言ってきた。
「あんた一人だと心細いでしょ? せっかくだし友達になりなさいよ」(何言ってるんだこの人は......頭大丈夫ですか?
ていうかここって本当に現実なんでしょうか?)
そんなことを考えていたらいきなり目の前に手を差し出してきたので反射的に彼女の手を掴んでしまった。
そうすると彼女が嬉しそうな声でこう言った。
「これからよろしくね♪」
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