第4話 現実世界の神様視点
帰宅してから自分の部屋にある鏡の前で泣いているところを発見されてお母さんから心配されるくらいに酷い顔をしていたんだと思う。
家に着いた私はベッドに倒れ込むと同時に意識を失ってしまったみたいで気付いたら病院のベッドで寝ていた。
目が覚めた後お見舞いに来たお母さんにすごく怒られて、涼平にも謝っておこうと思い病室に向かったのだけれど扉を開くことができないほど厳重に鍵がかかっていたので中に入ることができなかった。
「開けてくれない?」と聞いてみても返事すら返ってこない。
病院側も何があったのか聞き出そうとしているみたいだったけど一切教えていなかった。
それでも諦めきれず私は何度も何度も涼平に会いに行ったのだけれど面会させてもらえなかった。
それでも退院した後はすぐに会いに行って謝ろうと思ったのだけれど、涼平がどこにいるのかを誰も知らなかったので見つけることすら出来なかった。
「涼平、どこ......?」
虚空に向かって問いかける私。
それに答えてくれる人は誰もいない。
私は真実を知りたくなった。
白羽 蝶
彼女が校門で彼を連れ去って何をしたのか。
私は教室で、彼女を問い詰めることにした。
朝、学校に着くとすぐに彼女の机に向かい
「ねえ。蝶さん。涼平君に何をしたの」
彼女は不思議そうな目でこちらを見ている。
彼女は何を考えているのだろう。
「だからぁ~。涼平君の彼女さんに教えてあげてるじゃん。涼平君が誰のものかってさぁ~」
そんなことを言いながらヘラヘラ笑っている。
いつものおっとりした彼女からは想像できない顔と声だった。
「ふざけないでよ。涼平は私のものなんだから手を出さないでくれる!?」
「......へぇ~。じゃああなたがあたしの相手してくれるんだよね?」
「え......? きゃあっ!」
突然椅子の上に乗せられたと思ったら手足を縛られていた。
抵抗しようにも力が入らないようにされているため何もすることができない。
「これで身動きできないでしょ?」
そう言って近づいてきた彼女に口を塞がれてしまう。
「んぅっ......!」
舌を入れられて口内を舐めまわされてしまう。
「んんっ......」
やめてと言ってもやめてくれない。
息が続かなくなってぐったりしてしまう。
しばらくそうして唇を吸われ続けた後にやっと解放された。
その時にはすでに体の力が抜けてしまい机に突っ伏していた。
「あはははっ♪ 涼平君を誰にも渡したくないって言ったよねーぇ? だからさ、あなたを使って涼平君を独り占めしちゃおうと思ってねぇ♪」
そう言いながらまた近づいてくる気配がするので顔を上げて拒否しようとしたんだけれども体に力が入った状態では無かったために上手く体を動かすことができずされるがままになってしまう。
「大丈夫だよぉ~。気持ちよくしてあげるからね~♪」
周りを見ると、クラスメイト達は普通に会話している。
この状況が異常と思ってないらしい。
「んーっ!! んっ......! んんーっ!!」
声を出そうとしても出るものは意味のないうめき声のようなものだけだった。
「ふふっ......可愛いよぉ夢乃さん......」
耳に息を吹きかけられて体がビクッと反応してしまう。
なんとかしないと。
そう思い、机を見るとコンパスが置いてあった。
数学の予習で使っていたのだろう。
私はコンパスを取ると、彼女の手に刺した。
「痛っ!」
彼女の拘束が緩んだので、一気に体に力を入れると、一目散に教室から出ていく。
「はぁ。はぁ。なんなのよ。あれ。」
どうやら、彼女が私にした行動は周りの人から見えていないらしい。
「とりあえずここから逃げなきゃね......。」
今は保健室にいるけれど、いつ人が入ってくるか分からないため早く抜け出さなければならない。
そう思っていると保健室の扉が開く音がした。
(まずい......)
誰か来たようだ。
窓から外を見てみると下駄箱の方から歩いてくる一人の女生徒が見えた。
(あれは確か......隣のクラスの子......だよね?)
なぜだか知らないけど見覚えがあった。
でも思い出せない。 その女は真っ直ぐにこちらへ向かって来ているようで目が合ってしまう。
(どうしよう......助けてもらうべきなのかな......?)
悩んでいる間にも段々と近づいてきている。
そして、遂に扉の前で立ち止まったようだった。
(えっ!? 嘘!)
驚いたことにその子は自分のクラスと同じクラスだったのだ。
(もしかしてこの子なら助けてくれるかも。)
そう思った私は慌てて窓の方へと行きカーテンを少し開けて助けを求めようとした時に気づいた。
その女の周りには誰もいなかったのだ。
(なんで?) 私がおかしいのだろうか?
それとも他の生徒たちも同じような状況なのだろうか?
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