あの日の続きを...
これは物語の始まりである日の出来事から数年後に起きたとある一幕。
それは俊ちゃんがアセクシャルの存在を知ってしまい悩む姿を目にしたアリスによる行動から始まる。
「あのさ......」ある日のこと、アリスは俊ちゃんに声をかけた。
「最近元気がないみたいだけど大丈夫?」
「......うん」
俊ちゃんの様子が変わったことに気付いたアリスはその悩みを聞いてみた。
「実はね、あたしにはもう一人大切な人がいるんだけどその人とは恋仲じゃない。でもそれでもあたしは好きになってしまったんだ。だけどあの人はいつも他の人と仲良くしてばかりいてそれが凄く辛いの。ねぇ俊彦君お願いがあるの、もしこの願いが叶うならあたしの大切な人の力になってほしいの!」
アリスの言葉に俊彦君は迷いを見せたがやがて覚悟を決めるかのようにこう言った。「......わかったよ、僕が何とかしてみるよ」
こうして始まったのは俊ちゃんと彼の恋路のサポートをする日々、しかしそれを快く思わない人達がいたのは言うまでもないだろう。
そんな彼らの妨害により二人の幸せはあっけなく崩れ去った。
「俊彦君をいじめないで!!」
放課後になり俊彦君が帰る準備をしているとそこに現れたのは彼と同じクラスのアリスだった。
「どうしてここに?」
そう聞くと彼女はこう答えた
「今日は俊彦君の家に行くつもりだったんだよ。それにほら好きな人の家に行ってもっと親密になりたいじゃん♪」
そう言って彼女は微笑んだ。
(......僕はなんて馬鹿なんだろう)
彼はそんな彼女の笑顔を見て決心する。
(彼女の笑顔をこんな形で失ってしまうなんて......)
それから数日後の夜、俊彦君はアセクシャルについて調べていた。
するとそこにはアセクシャルについての記事が書かれていた。
「そうか......そういうことだったのか。だから僕はあの時彼女にあんなこと言ってしまったのか。ごめん......アリス。本当にごめんね」
俊彦君の呟きは誰の耳にも届くことはなかった。
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