第1話 女の子になりました

 現在俺とレガートは魔王討伐の栄誉を賜る表彰式が終わり、別室に通さいる。


「大丈夫カリア?顔色悪いわよ?」

「......あぁ」


 魔王と決戦を行なう前。数多の敵を薙ぎ倒した際に、敵幹部である男淫魔が最後に放った呪いにより、俺の体は身体の性質が男性から女性へと時間をかけて変質していた。


「やっぱりその身体の事?......私との婚約。嫌だった?」

「レガートとの婚約が嫌な訳が無い。ただ、この身体をどうしたものかと考えたらなぁ」

「可愛いわよ?貴方がどんな姿でも私は愛するわ」

「ありがとう、俺も好きだよ」


 向かい合って座っていたレガートは、俺の隣に座り直し手を重ねてくれた。


「私も魔王討伐に参加していたらこんな事にはならなかったわ。絶対。......そもそも、あの子がいてなんで解呪出来なかったのよ」

「解呪を行なう時間が無かったんだ。ほらあの詠唱は少し長いだろ?俺達は精一杯戦った。その結果負った傷だ。悔いは無い」

「けど困るわよね?これからもまだ戦わないと行けないし。そうね。次は私も一緒に戦うわ」


 レガートは女王になる事がほぼほぼ決まっている。心配してくれるのはとても嬉しいが、今後一緒に戦う事は出来ないだろう。


 魔王を倒したからと言って、全て解決する事は無い。恐魔大陸。フルーク聖王国付近に巣食う強力な魔物がまだ全て討伐されておらず、いつ暴れ出すかわからない。

 だからこそ、魔王を倒した勇者は戦う事を強いられる。


 レガートは口を止め俺を見つめる。

 ?何かおかしかったか?


「......ん〜、お父様もお母様も元気だし戴冠式をギリギリまで引き伸ばせば、数年は一緒に2人で屋敷に暮らせるわ。その間で何か考えましょ」

「悪いな。屋敷って子供の頃使ってた所か?よしっ、これから屋敷に行くんだろ?」

「えぇそうよ。でも貴方その身体でしょ?今日は泊まったら?私はこれから事務作業があるの。部屋はそうね、侍女を呼ぶわ」

「色々と迷惑かけるな。ありがとう」

「いいのよ。それじゃ私は行くわね。夕食で会いましょう。好きよ」




 ー レガート視点 ー




 足早に部屋を出た私は混乱の渦中にいた。


 待って待って!!なんでカリアが女の子になってるの!?

 え?魔王討伐の時に呪いを受けた?

 カリアは呪いの危険性くらい知ってるわよね。それにあの女狐も一緒だったんだし、なんとかなると思うのだけど......


 性転換を使えるのって、確か女淫魔か男淫魔だったはず。今回は男から女だから男淫魔よね?

 あーもう!私が一緒だったらっ!


「......どうにかしないと」


 お父様とお母様から婚約が認められ、正式なモノとなったと言っても憂が無い訳では無い。

 魔王軍の残党討伐。反王派なんかに付け入る隙を与える事に。それに、この先私が国の王になった際に女王が2人になってしまう。

 何より!子供ができないっ!!!


「由々しき事態ね。ねぇ、サラ。私は今から工房に行くわ。食事の用意ができたら呼んでちょうだい」

「承知しました。カリア様は如何いたしますか?」

「血液、唾液、髪を数本採取をしてちょうだい。器具はこれから渡すわ。カリアは空いてる客間に泊まらせて。あの格好で歩かせる訳にはいかないしね」

「承知しました。ではその様に」


 私の部屋の隣には、お父様に無理を言って作ってもらった工房が存在する。折角、全色の魔術を使えるのだから研究しないと勿体無い。


 専属侍女に各器具を渡し終え、解呪の薬を製作する準備に取り掛かる。


「えっと、確か......似た症状の試作は確かここに......あっこれね。でもこれ、あくまで症状が出て数刻以内の使用を考えていたのよね。完全に発症した今回では使えないかも」




 呪いとは魔術と違い術者が死んでも発動が止まる事は無い。





⭐︎⭐︎⭐︎


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