に
少年の言葉を聞いて妻が答えた。
「あら。君はパイロットになりたいのね。かっこいい夢ね。おばさん応援してるわ。頑張ってね」
私もこう答えた。
「君の夢は本当にすごい夢だね。頑張って勉強もしなくちゃいけないね」
私達の言葉を聞いて少年は不思議そうな顔をしてこう答えた。
「僕は別にパイロットになりたいわけじゃないよ」
少年の言葉に妻は首を傾げながら私に聞いた。
「えっ?でも他に空に行くお仕事ってなかったわよね?」
「そうだな。他の仕事というとあまり思いつかないがそれじゃあ君はどんな仕事につくのが夢なんだい?」
少年はちょっと困ったような顔をして答えた。
「おじさんとおばさんも僕の周りの人たちと同じことを言うんだね。ごめんね違うんだよ。僕は『生きる』の方の『生きたい』なんだよ」
私は驚いて声も出せなかった。この子は一体何を言っているのだろうか。
しかし妻は違った。
「君はどうして空に生きたいって思ったの?」
少年は妻の言葉に驚いたようにでも嬉しそうに妻に向かって答えた。
「そんな風にちゃんと聞いてくれた人初めてだ。ありがとうおばさん。あのね僕が思ったことを言っても誰もわかってくれないんだ。家族にも友だちにもわかってもらえない。それが苦しいときがあるんだ」
そ言葉を聞いて妻が答えた。
「君の気持ちはおばさんにはなんとなくだけどわかるわ。おばさんもねもうちょっとで違う世界に行くんだよ」
少年は妻を見ながら
「えっ?!そうなの?僕はおばさんにわかってもらえて嬉しかったのにおばさんとお別れしなきゃいけないなんて寂しいな。
おばさんはこの世界楽しかった?」
妻も少年を見ながら
「そうね…おばさんはとても楽しかったわ。それにおばさんはね自分だけの空を見つけたの。それでも苦しいことや悲しいこともたくさんあった。でもこの世界を最後まで楽しめたと思うわ」
「おばさんは自分だけの空を見つけたの?僕にも見つかるかな?自分だけの空」
少年は妻に向かって質問した。
「見つかるわよ必ず。だってあなたはすごいもの。だからあなたは空に生きるのは先よ。おばさんのように自分だけの空を見つけて。そしてこの世界世界を楽しんでから空に生きなさい」
「…自分だけの空か…。おばさん、ありがとう。僕も探してみるよ自分だけの空を。」
「そうよ。絶対に見つかる。自分の心と向き合いなさい」
「うん」
私はそんな妻と少年の会話を聞きながら二人が何を言っているのかよくわからなかった。
ただ妻の言った言葉に寂しいような切ないようなそんな感じを覚えた。
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