034 託す
「ウェルフルにあるアーティファクトは、一度ボルドーに送ろうと思います。ウェルフルでは研究機関そのものがありませんから」
アイダとクラン、そして博物館の館長が国王に進言した。
「しかし、アーティファクトを貸し出すのは些か不安ではあるな」
エディ国王の心配は尤もなことだ。
魔王討伐後の世界は、本当の意味で平和になる。なりすぎるのだ。
その水面下では恐らく、政治的な思惑が渦巻くことだろう。
ボルドーがアーティファクトを独占する可能性もゼロではない。
が、ハンキーを知る人間ならそんな心配は無用だ。
「あいつのことです。頑として受け取らないでしょう。例え女王様に背いたとしても」
「だろうねえ。どんな手を使ってボルドーを出し抜くのか期待しちゃうわ」
2人はハンキーに絶対の信頼を置いていた。
それ以上に、ハンキーがどんなとんでもないことをやらかすのか楽しみですらあった。
「・・・・なんだかお主ら2人とも、ハンキーに似てきたぞ」
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「それで俺ッチに白羽の矢が立ってってわけですかい?」
190cmはあろうか。大柄な体躯だがしなやかで絞り込まれた肉体は見事の一言に尽きる。
その獣人のベースとなったのは、古代の文献によれば『カンガルー』と呼ばれた動物だ。
「運搬型でも腕っ節の強い奴のほうがいいだろう?というわけで、頼んだぞジョネ」
クランのその言葉が嬉しかったのか、ジョネは頰が緩んだ顔で胸を張った。
「任せておくんなまし!伊達に拳闘大会で準優勝してませんぜ!!」
「無事に戻ってくれよ。君はこれから重要な戦力になるからな」
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