022 王都浄化作戦開始

「ピースメーカー王、一体何がはじまるんで?」


正門を守護する衛兵は何も聞かされていない。

知ってしまえば彼も危険になるだろう。




「すまんなゴル、今は何も聞かないでくれんか」


「私の名前・・・・覚えてらっしゃるので?」


「当然だ。我が国の盾を知らぬものなど王ではない」


門番ゴルは、警察に入って20年、今の任務について僅か2年だ。


エディの求心力はこういった細やかな気遣いが一因でもある。




「私じゃ解析できる自信ないです・・・・こんな複雑なトラップ・・・・」


ハンキー、封印魔法使いニドリム、そしてエディ国王は王都の正門に集まっていた。


ニドリムは自身無さげに俯く。聞けばまだ18歳の少女だ。

この年齢では仕方がないだろう。


ハンキーが中腰になりながらニドリムと視線を合わせる。


「この前、東部に行ったんだろう?」


「はい、見識を広めよとのご命令でした。護衛も兼ねて」


「だったら封印型の希少性はわかるだろう?」


「そうですけど・・・・・」


「実際、君の魔力量は俺より上だ。俺との差は経験だけで、2年もすれば俺より強くなるぞ」



吟遊詩人の言葉には魔力が込められる。とりわけハンキーの声は他人に安心感と自信を与えるものだった。



「ハンキーさんより?私が?・・・・」


「やってみます・・・・・!!」



「む・・・・・う・・・・・・おお・・・・・」


ニドリムはトラップに魔力を送り込むと、複雑怪奇な構造を解体し始めた。


やはり、凄まじい魔力だ。封印型というのはこうまで才気に恵まれるものか。


10分・・・・20分と時間が過ぎる・・・・。


30分もした頃、ニドリムの魔力が消えた。



「解析・・・・・・」


「できちゃいました・・・・・・」


照れ笑いを隠しきれていない表情で嬉しそうに言った。



「言った通りだろう。ニドリムの魔力は円卓の騎士でもおかしくないぞ。では、手筈通り破壊してくれ」


「はい!行きます!」



ニドリムの凄まじい魔力が辺りを包む。

封印型の影響でハンキーたちの魔力すら押さえ込まれた。


ガシャン!とガラスが割れるような音と共にトラップは崩れ去った。


予想通り、正門のメイントラップを破壊すればすべてのトラップが消え去った。




「これで準備は整ったな」


「うむ、あとはグリーンに任せよう」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る