検死官はじめてツンデレエルフと出会う
「それでこれからどうするの?太陽」
ラブから質問された。
「まあ、情報を集めるしかないな。」
入学式が終わり、教室へ向かう。
ちなみに秋月月子とは別のクラスだったので、途中で別れた。
「ここが特別クラス・・」
クラスの入口前で、多くの人だかりができていた。
どうやら有名人がいるらしい。
「あの人だかりは?」
「解析中、おそらく、王国の皇太子たちね。データと一致するわ。」
「オフラインでもそんなにデータがあるのか?」
「ラプラスお母様が持っていた情報は全て私にも記録されているもの。」
「なるほど。」
ラブがいれば、とりあえず情報に困ることはなさそう。
しかし、周りを見ると、本当にエルフや亜人が多いな。
エルフや亜人と呼ばれる種族は、魔力器官があり、生まれながらに魔法を使えるとされている。
「魔法使えないんだけど大丈夫だろうか。」
「流石に魔法学園じゃ無理かも、ふふふ」
ラブは機械じゃないような笑い声を出していた。
そんなにおかしい発言だろうか。
そんなこんなで魔法学園の授業が始まった。
しかし、最初は授業のイントロダクションばかりで、つまらないような、よくわからないようなものばかりだった。
というのも、王国の皇太子やら、公爵家の長女やら何かしら権力が強い人の影響があるらしく、どうにもクラスが落ち着かない状況だった。
まあ、魔法警察でも覇権争いなんてものはあるので気にするほどのことでもないが。どうも魔力社会特有の文化らしかった。
そういえば、魔力社会のエルフや亜人は、女性が優位な社会だと聞く。
というのも、魔力量は基本的に女性の方が多いという体の構造的な話だ。
魔力の量は優れた、魔法使いの証、ということで必然的に女性の地位が高くなるとか。
目の前の女子たちの出来上がったグループを見てそんなことを考える。
学園まできて権力争いとか夢がないな。
「ラブ」
「どうしたの?」
「暇だからあの人たちについて調査してきてくれ。」
「いいよ!それじゃあ、これを渡しとくね。」
ラブは、ジャミング状態で透明のままどこかへ消えてしまった。
ラブからもらった腕輪をつける。
連絡用端末になる腕輪だ。
そんなこんなで昼休みの時間になった。
昼飯を食べに部屋に行く。
学食もあるらしいが、面倒だったのと、特待生の部屋にはある程度の食料があるので、部屋が一番快適だ。
「全く誰なんだ僕は?」
バチッと外で音がした。
様子を見ると、ラブに調べてもらっているグループで争いが起きていた。
1人のエルフが虐められていた。
よくわからないけれど、喧嘩はよくないな。
「ラブ状況は?」
「どうやらグループで気に食わない女子といざこざが起こったようです。」
なるほど。全く子供だな。ここは大人として、止めるか。
「あんたうざいのよ。ハーフエルフのくせに!!」
1人のエルフが拳を振り上げている。
「喧嘩はよくないぞ。」
仕方がないので声をかける。
「何よ、あんた。」
「あ、こいつ特待生ですよ。」
取り巻きがそんなことをいう。
「ちっ、特待生は厄介ね。いいわ。ここわあんたの顔を立ててあげる。ハーフエルフは人間と仲良くしてるのがいいことだわ。」
そんなことを呟きグループは、どこかへ行ってしまった。
「ラブとりあえず追跡しといて」
そういうと、ラブはまた消えた。
「あ〜、えっと大丈夫か?」
とりあえず虐められていた子に声をかける。
子供は大変だな。
「べ、別に」
ん?別に何?
「別に助けてなんて言ってない。なんで助けたのよ!」
怒鳴られた。
あれ?おかしいな。思った展開と違う。
「ごめん。そうだな。ただあいつらの態度が気に食わなかっただけで、迷惑かけたな。」
とりあえず、謝る。
まあ、余計なことをしてしまったかもしれない。
「でも、ありがと。」
彼女はボソリと呟いた。
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