第3話
「お邪魔します……」
「おう、シシ。入れ、入れ!」俺は弟に手招きした。
俺の手招きに促されるようにシシは室内へと入り、俺たちのところにやって来た。
「アルフレッドお兄さん、どうか僕のことを助けてください!」とシスルはいきなり頭を下げた。
「お……おい、シシ。いきなり改まって?」
「アル兄、驚かないで聞いてください。僕、全く身に覚えのない隠し子がいることになってました。しかも二卵性双生児の男の子と女の子です」
「……どう考えても出来過ぎだな。……お前、最近誰かから恨みを買うようなことしてねぇか?」
「……なわけあるかよ。おれ、SNSやってないし、仕事場と家しか行き来してねぇもん」
「だよな、お前、まだ飲酒可能年齢じゃねぇしな……」
「……仕事? シスルくん、だっけ? 君、何の仕事してるの?」
「アル兄の同僚の方ですね。お初にお目にかかります。僕はシスル・リュースナー。読者モデル兼エキストラみたいな仕事をしてます」
「初めまして、ダニエル・フォン・リーです。君のお兄さんとは相棒を組ませてもらってます」
俺は弟と相棒の自己紹介の様子を微笑ましく見ていたが、そんな場合ではないことをすぐに思い出した。
「それはそうとシシ。何があったか分かるように話せ」
「あぁ。アル兄、ダニエルさん。実は……」
とシスルは、自身に降って湧いた珍事をポツポツと話してくれた。
シシの話を要約すると次の通りだ。
昨日、所属事務所のオフィスに出社してすぐ、シスルは社長に呼び出された。
何か大きな仕事でも任されるのだろうかと期待した彼に提示されたのは、「
シシはすぐに「身に覚えはない。フェイクだ」と主張したものの、信じてもらえず、『本当にお前の恋人と子どもではないのか?』と詰め寄られたのだと言う。
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