第2話
[アルフレッド・リュースナーさんにお客様です。アポイントメントはされていないようですが、お会いされますか?]
……俺に来客? 一体誰だ?……
「なあ、アキシー。来客の顔を見せてくれ」
俺はホログラムの女性に命じた。
[はい。この方です]
壁に大映しになったのは、1人の男の姿だ。
黒い野球帽に幅広のスクエアフレームの眼鏡を掛け、マスクをしているため、大まかな顔の造作しか分からないが、俺はすぐに誰だか分かった。
男の名はシスル・リュースナー。俺の弟の1人だ。
「シシ!」思わず俺は声を上げた。
「アキシー。この人をこの部屋まで案内してきてくれ」
[承知いたしました]
そういうと女性のホログラムも壁の映像も何事もなかったかのように消えた。
「今の人、知り合い?」
「いや、俺の弟」
「え? でも、全く似て……」
「あいつ、デザインドでさ。……まぁ、お袋が『カデットちゃんとヘレンちゃんにイケメンで長身の弟をプレゼントしてあげたかったから〜』とかヤバいこと言って、生まれて来たのがあいつだから。……あ、カデットとヘレンって言うのは、俺の妹たちな」
「カデットちゃんのほうは分からないけど、ヘレンちゃんって、こないだ一緒にいた金髪で美人の子だよね?」
「そうそう。俺たちのウインドウショッピングに付いて来た」
「彼女も全然似てないけど、もしかして……」
「いや、あいつは普通に養子。確かお袋が、『人工子宮施設で処分されそうになってたから助けてきた』とか言って連れて帰ってきたのかな? だから、そもそも血の繋がりはないわけ」
「何かしれっとデザインドパーソンやら養子やらって出てきたけど、本当にお前ん家どうなってんの?」
「前に話したと思うけど、俺のお袋、人工子宮にのめり込んで、子どもに対する倫理観壊してて。だから、俺ん家には養子が3人とデザインドパーソンが4人いる」
「やっぱりすげぇことしれっと聞かされた気がする。……それはそうと、『カデットちゃん』と今訪ねて来てる弟くんって、それぞれどんな子なの?」とダンが訊いてきたその時。
壁面モニターに再びホログラムの女性が現れ、[アルフレッド・リュースナーさんのお客様をお連れしました]と言った。
「お疲れ、アキシー。下がってくれ!」と俺は答える。
すると、ほぼ同時に扉が開き、シスルが姿を現した。
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