第13話 僕らが見た夢は同じ夢だった?

『僕らが保健室出身のワケ』13話

ダイゴ•ジェームズは歌をYouTubeにアップしてから色々なことが変わったのである。

まず、ファンが増え登録者数が30万人になった。それから、動画の収益化が実現した。

最後に、YouTubeで僕を見て、一緒に組みたいと言ってきた子がいた。

彼は僕とひとつ違いで、ルカ•ウィルソンという子で高校は中退したそうだ。

歌に全てをかけたくて、あと少しで卒業というところで高校を中退したそうだ。

親からはそれを機に見放され、家にも帰れず道端で野宿したり、友達の家に居候したりしているそうだ。

肝心の彼の歌声は確かにso good ! かも。

ただ正確に難があったのは、2人で組んでから分かってしまった。

僕と彼は路上での歌手活動でのファン増やし方が少し違かった。

僕は人がいてもいなくても歌い続けるんだ。

でもルカは人がいないと不機嫌になって、歌を中断して暴言を吐く。

時には酔っぱらっているサラリーマンに因縁をつけて殴りかかるんだ。決まって彼はこう言う。

『俺は公共の場で俺だけの歌を流したいだけ。俺はお前がいないとやっていけないんだよ。なあ、俺は全部を捨てちまったんだから。何にも捨ててないお前と俺とだったら俺が上なんだからな』

僕はそんな彼にハイハイと適当に返事をする。

こんなにも性格に難があるなら一緒に歌手活動しなかったのになって思った。

こんな日を毎日過ごしていると、僕もだんだん嫌になって彼に言ってしまった。

『もう僕と組むの辞めよう。もう終わりにしよう。もう面倒見きれないよ』

するとルカは掴みかかってきた。その手を振り払おうとしたけど、ルカの手は強く僕の顔そしてお腹にグーパンチしてきた。僕が地面に転がっても、攻撃の手を緩めなかった。その後も足で僕のお腹を蹴ったり、僕がやめてと言っても彼は動きを止めようとはしなかった。

僕はいつの間にか気を失った。

気づいたら病院のベットの上だった。

顔にはあざができ、肋骨が折れていた。

僕の病室に田島先生と親と警察官が来ていた。

僕は彼がどうなったか聞いた。

彼は度が過ぎたことをしたと反省していると言っていたそうだ。

でも、僕はそれは一時の感情でしかなく、また彼は繰り返すだろうと思った。

その気持ちは田島先生も親も同意見だった。

そんな時、幸か不幸か僕にある音楽プロデューサーから歌手デビューのお話があったのだ。

ルカと2人で活動していた時に、たまたま路上で歌っている姿を見て、ちゃんとした歌手デビューをさせたいと思ったらしいのだ。

僕はその誘いを受けた。

ただ一緒に組んでいるルカと未だにちゃんとした別れ方をしていないことをプロデューサーに相談した。

すると、じゃあ病院のカフェでプロデューサーも出席のもと話し合いの場を設けようと言ってくれた。

保健室の常連組のライングループのみんなにも迷惑かけてしまった。

暴力に遭っている時、意識が飛びそうになりながら『僕、もう無理』ってライン送って心配かけすぎちゃったから。

だから、あの時はごめんなさいのラインを打っといた。でも、みんな優しくて『大丈夫なら良かった』って言ってて、嬉しかった。

次の話はルカとダイゴのコンビ解消の話し合いである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る